民泊オーナーに聞いた これからの宿泊事業はもうかるの?

賃貸経営|2023年12月20日

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 インバウンド(法人外国人)需要が息を吹き返す中、宿泊事業の再開や新規参入を目指す人が増えています。とはいえ、新型コロナウイルス禍における厳しい経営状態の記憶はまだ鮮明で、踏み出すことをちゅうちょする人も多いことでしょう。民泊事業を行うオーナーに取材し、具体的な月商や宿泊事業特有の経費などについて、お伝えします。

§1 民泊物件はどこで、何棟やっている? 

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 取材は、6人の民泊運営者を対象に行いました。物件を所有している人が3人、自宅を利用している人が1人、転貸する人が2人です。各オーナーの物件選定方法として最も多かったのは、物件自体に魅力を感じて「この場所の良さを知ってもらいたい」「外国の人に日本の良さを伝えたい」といった心情的な理由でした。所有か転貸かといった所有の形は、あまり重視していませんでした。

§2 民泊事業 売り上げはどれぐらい? 

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 売り上げについては2人が回答。月額40万〜50万円と、自宅の家賃や光熱費をカバーできる程度という内容でした。ほかに、月に7泊程度の宿泊があれば利益が出るとの意見がありました。取材した感覚では、月の売り上げが20万〜30万円ほどあれば運営可能であるものの、実際には10万円を下回るという、経営的に厳しい状況という印象でした。賃貸の家賃で考えてみると、運営費用が多くかかるため家賃の約3倍の売り上げは必要となるようです。

 今回、取材した注目ポイントは以下の3点です。一つずつ説明していきます。

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§3 立地、物件で大きく変わるターゲット

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 1点目は、立地、物件でどのようにターゲットが変わるのかということ。上記のように、物件をAからCのタイプ別に三つのグループに分けて調べてみました。

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 Aグループはほとんど外国人観光客でした。Bグループは外国人観光客以外に日本人観光客も宿泊しています。Cグループは帰省や出張の利用もあり、観光客以外に知人や友人など幅広い層が宿泊していました。これは自宅を利用しているため、オーナーの関係者の利用が多いことが要因のようです。

 複数物件を運営している鈴木さんの話です。「広島県尾道市には、観光資源として『しまなみ海道』があり、町おこしも盛んなため、現地の宿泊施設は国内外から多くの観光客を集客できています。また、周辺にホテルが圧倒的に少ないため、民泊への宿泊需要はかなり伸びています。石川県金沢市の物件は、写真やインスタ映えを意識した宣伝に力を入れています。集客サイトに雪景色の写真を掲載したところ、多くの観光客を集客できました」

 次に、千葉県九十九里町で中古ログハウスの物件を運営する玉井さんの話です。「日本人の家族連れで1泊の利用が多いです。九十九里町といえばサーフィンのイメージがあると思いますが、サーファーは日帰り、あるいは自分のログハウスに泊まるので、民泊を利用する人はほとんどいません。それよりも、観光目的で訪れ滞在を気軽に楽しむ宿泊者が多いです」

 外国人観光客の場合は、基本的には空港から移動するため、宿泊先は空港からのアクセスの良さで決まります。空港からタクシー1本で行ける物件の利用が多いようです。

§4 民泊事業 経費はどれぐらい?

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 2点目のポイントは、運営費用をどこまで抑えられるかです。

 宿泊事業は水物で、コロナ禍のときのように少し規制がかかるだけで稼働率が一気に落ちることがあります。また、繁忙期は8〜9割稼働しても、閑散期は1〜2割しか稼働しない場合もあり、売り上げを自分あるいは自社でコントロールするのは、かなり難しいです。そのため、運営費用をどこまで抑えられるかがポイントになります。

 自主管理と代行事業者委託で比較して考えると、当然ですが、代行事業者に委託したほうが費用はかかります。しかし民泊運営のプロではない場合、自主管理でスタートすると、アメニティ―はそろっているのか、緊急の対応はどのようにすればよいのか、お客様の要望にどのような対応をするのがベストなのかなど判断しなければならないことが多く、体力的にも精神的にもオーナーの負担が大きくなります。費用を抑えようと自主管理を選択したものの、オーナーが疲弊して運営を続けられなくなってしまっては本末転倒です。民泊運営初心者は、プロに任せたほうがいいケースもあるので慎重に考えましょう。特に遠方の物件を民泊として活用する場合、足しげく通えない、という理由からやはり自主管理は難しく、現地の運営事業者に委託するのが主流になっているようです。

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 続いて、経費の内訳を見ていきます。まず、集客システムの利用料があります。一般的に「Airbnb(エアビーアンドビー)」「Booking.com(ブッキングドットコム)」などがよく利用されているようです。ほかにリネンクリーニング代。運営会社に任せるとその費用もかかります。所有でも転貸であっても、家賃あるいはローン返済があり、売り上げからそれらを差し引いた金額が利益となります。

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 上記の表は、戸建て物件(1棟)のオーナーに代行事業者が提出した「2023年9月度の収支レポート」です。売り上げが18万4000円。そこから広告掲載費、掃除費、消耗品費、宿泊税、運営費を差し引いて、利益は8万1906円となっています。

 戸建て1棟の場合、宿泊すれば100%、宿泊がなければ0%の稼働率となります。9月は13%の稼働率でしたが、10月は21%、11月は30%の予約率となっており、徐々に伸びてきています。

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 同じオーナーの別物件の収支レポートです。こちらは9月度の売り上げが24万5800円。広告掲載費、消耗品費、宿泊税、運営費といった経費を差し引き11万9955円の利益となっています。表5の物件より高い利益を上げています。

§5 口コミ・料金設定が肝

 三つ目のポイントは、口コミおよび料金設定が肝になるということです。賃貸物件の場合は、口コミや家賃設定だけで決まることはなく、立地や築年数が集客に影響しますが、民泊の場合は、口コミと料金設定で全てが決まると言っても過言ではありません。物件選定は飲食店を選ぶ感覚に近い印象です。

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 画面1は、九十九里町の物件のBooking.comの画面です。

 サイト内に口コミのページがあり、ここの内容が集客に大きく影響するとのこと。口コミの詳細を見てみると、「サイコー!!」と言う口コミで10点評価もあれば「まあまあ」の口コミで5点評価のものもありました。個人の感覚的な評価になりますが、民泊の利用を検討する人は、この口コミを重視しています。

 物件のホスピタリティーが評価される一方で、かなり過剰なサービスを求める顧客が一定数存在し、そうした顧客にネガティブな口コミを書かれてしまうと稼働率への影響が大きいとのこと。ホストの努力次第で集客アップできるとは限らないのが難しいところです。

 留意すべき点として、最近は、運営者の手残りや利益を最大化しようと、スマートロックを利用して、自身で解錠する無人運営が増えています。しかし「物件の前まで行ったが鍵が開かない」「目印の看板が立っていない」といったトラブルが発生しています。

 その際、電話がつながらなかったり、担当者がいなかったりすると、厳しい口コミが投稿され集客に影響します。ですから、無人で運営すれば利益が増えるとは限りません。ホスピタリティーは有人でなければできないこともあると思うので、無人運営やコストカットは慎重に判断することをお薦めします。

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