新春社長インタビューに東海エリア大手のニッショー(愛知県名古屋市)の加治佐弘社長を迎えた。これまでの実績や、2023年に進めてきたことを踏まえ、24年は何に取り組んでいくのか。今後の戦略を取材した。
「オーナーの収益向上第一」
23年に家賃増9000戸 家主5000人に調査
年間賃貸仲介件数3万8000件超を誇る東海地方大手不動産会社ニッショーは2024年に、主に三つの取り組みに注力する。一つ目が更新時・新規募集時の賃料アップ、二つ目が仲介店舗出店のドミナント戦略、三つ目が相続対策コンサルティングの強化だ。
一つ目の賃料アップは、22年7月ごろからプロジェクトをスタートした。まずは管理物件9万1000戸のオーナー約5000人に向け、更新時・新規募集時の賃料増額についての希望を調査する書面を送付。約3割のオーナーが賃料増額交渉の実施を了承したという。「意外と多くなかったというのが実感だ」と、加治佐弘社長は話す。更新時に賃料増額交渉を行うことで、退去につながることを懸念したのではないかとみている。
加治佐社長は「賃料は上げづらいものだが、物価高騰の中、賃料は下げ止まっている。賃貸経営を行う運営上のコストは上昇しているため、オーナーの収益向上のために家賃収入を増やすべきと考えた」と話す。同社はリーマン・ショック以降、入居率が一時的に減少。当時、入居促進のために相場より賃料を安く設定し入居付けしていた背景もあり、適正賃料に戻す狙いもある。