TERASS PARTNERS(テラスパートナー:東京都文京区)で賃貸管理事業を統括する馬場生悦部長は、財務・税務のプロを目指し監査法人で修業を積んでいた。そんな中不動産の魅力に触れ起業に至った。
オーナー営業で納得感
「もともと経理や会計のスペシャリストを目指していましたが、余裕のある企業ほど不動産を保有していると知り、思い切って不動産業界に足を踏み入れました。不動産業界の人は、仕事に熱い人が多く、業界は群雄割拠。今の環境のほうが毎日やりがいを感じています」
こう話す馬場部長。所属するTERASS PARTNERSは、全国で600人超の不動産エージェントを擁するTERASS(テラス:東京都港区)のグループ会社で、600戸の管理を受託する。馬場部長は、同社で事業責任者として管理受託営業や、管理事業の体制構築・改善に取り組む日々を過ごす。
これまで馬場部長は経理や会計業務のキャリアを積んできた。新卒で入社した上場IT企業では4年間、経理を担当。次に監査法人で外資系企業の会計基準調整業務などに2年間従事した。その後は上場自動車メーカーで3年間、管理会計を担当した。
累計9年間、会計業務に携わったことで「数字に強くなったことが今に生きている」と馬場部長は振り返る。
会社員生活では営業経験はなかったものの、数字を根拠に話す癖がつき、当初からオーナーに納得感のある営業提案をすることができた。ファイナンスや法律の知識も身に付いていたため、オーナーからの信頼を得やすく、営業に生かすことができたという。宅地建物取引士などの試験を受ける際にも大いに役立った。
オーナーへの提案を行う馬場部長
そんな馬場部長だが、新卒当時の自分の姿を振り返ると、苦笑いが浮かんでしまう。「ITは今後伸びるだろう。上場企業であればなお安心」と漠然と入社した1社目。業務中に居眠りをしてしまうこともあり、全く仕事に身の入らない日々だった。「なんとなく働いていれば昇進していくものだと勘違いしていました。そんな自分に喝を入れてくれたのが当時の上司。私を駄目な奴だと放置せず、今の状態では子会社へ転籍になると叱り、働くということについて丁寧に教えてくださった。それまでの自分を変える大きな転機でした」と振り返る。
それからの馬場部長は見違えたという。瞬く間に日商簿記検定試験2級を取得。会計のプロを目指して監査法人に転職し、米国公認会計士の資格取得を狙い予備校に通った。
不動産に興味を持ったのもこの頃だ。不動産を保有している企業の利益率の高さを目の当たりにしたことがきっかけだった。そこから自身の目標を「会計のスペシャリスト」から「不動産会社経営と不動産オーナー」へ急ハンドルを切り、21年に不動産会社を起業。並行して不動産の購入を進め、今では64戸のオーナーだ。23年にTERASSの経営陣らに刺激を受け、起業した会社と共にグループ入りした。
今後も、「思い立ったら即行動」の精神を生かし、会社として管理戸数1000戸・自己所有は200戸を目指して、まい進する。
(2024年9月30日23面に掲載)