業務数値化・内外の信頼を強化
組織の力で品質を守る
賃貸管理業界では、慢性的な人材不足や離職率の高さが大きな課題となっています。現場スタッフの入れ替わりや業務遅延がオーナーの信頼を損ね、結果として資産価値の低下を招くことも少なくありません。
管理戸数の拡大が続く中で、個々の力だけに頼った組織運営では限界が見え始めています。安定したサービス提供を実現するためには、チームとしての機能を高め、持続的に成果を出し続ける仕組みが不可欠です。
私たちタフト(北海道札幌市)では、管理品質の向上と離職率の低下を両立させるために、「人材育成」と「組織力の強化」をもっとも重要な経営テーマとして掲げています。
数値化とモニタリングで「見える化」
まず重視しているのは、業務の「数値化」と「モニタリング」です。不動産管理の現場では、感覚的な判断に頼ってしまうことが多く、正確な状況把握が難しくなりがちです。そこでタフトでは、管理チームのコンディションを定量的に捉えるために、退去後の原状回復期間と平均空室期間という二つの指標を設け、常にモニタリングを行っています。
これらの指標は、単なる数値管理ではなく、チーム全体の温度感を測る「体温計」のような存在です。
実績を定期的に振り返り、基準を超えた場合にはリーシング担当と工事担当が部門を越えて協議し、原因と改善策を共有します。さらに、社内で開発した自動算出システムにより、誰でもリアルタイムで状況を確認できるようにしました。
数値を「見える化」することで、スタッフ一人一人が課題を自分事として捉えるようになり、主体的な改善行動が自然と生まれています。最近では、「どうしたら次回はより早く原状回復ができるか」といった前向きな意見交換も活発になり、チーム全体の連携が明らかに強化されました。
チームの信頼が品質をつくる
もう一つの柱が、社内外のコミュニケーション強化です。
社内での年に1度の経営計画発表会を中心に、各部署の成果や課題を共有する機会を設けています。2025年はリーダーによる発表に加え、金融機関や取引先も招いたことで、より高い緊張感と一体感のある発表会となりました。理念や行動指針を改めて全員で確認することで、部署の垣根を越えた結束力が生まれています。
また、業務外での交流も欠かせません。職場での信頼関係は、日常の会話や雑談から育まれるものです。定期的な社内イベントや部活動のような社内制度を通じて互いの理解を深めることで、チームの関係性が強まり、結果として離職防止にもつながっています。
スタッフが安心して働ける環境が整ってこそ、安定した管理品質が維持されるのだと感じています。
現場とオーナーをつなぐ
さらに、社外とのつながりも重視しています。
オーナーの皆さまとの面談では、現場を担当するスタッフも同席し、現場の状況や課題を直接共有します。こうした取り組みによって、オーナーの考えをより深く理解し、信頼関係を築くことができました。
また、道外のオーナーを訪問する際には、各地域のCPMホルダーとも交流し、他地域の管理手法や考え方を学ぶ機会を設けています。こうした経験がスタッフの視野を広げ、現場改善の新たなアイデアにつながっています。
人と仕組みで持続的な管理を
人が辞めない職場をつくることは、単なる福利厚生の充実ではありません。
スタッフが安心して働ける環境が整ってこそ、安定した管理体制が実現します。その結果としてオーナーの資産価値が守られ、入居者の満足度も高まります。組織の健全性を保つことが、結果的に資産の最大化につながるのです。
管理会社の価値は「人」と「仕組み」で決まります。数値に基づく客観的な判断と、人と人との信頼関係という両輪を回し続けることが、持続的な不動産経営を支える土台です。
これからもタフトは、人材と組織を育てることで、「永続的な管理」を目指してまいります。
【執筆者】
タフト
代表取締役 酒井和之
IREM JAPAN北海道支部副支部長、本部総務委員長。CPM・CCIMの資格を生かし、札幌市を中心に約3400戸を管理。組織的運営によるPM(プロパティーマネジメント)品質の向上と人材育成に注力している。
(2025年11月24日15面に掲載)





