企業研究vol.042 北嶋暢哉 社長

秋田住宅流通センター

インタビュー|2019年12月20日

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北嶋 暢哉 社長(57)

 秋田県内で約7000戸を管理する秋田住宅流通センター(秋田市)の北嶋暢哉社長は、「強力な客付け力が強み」と語る。県内7拠点を展開し、店長クラスは業界経験20年のベテランを配置。入居者、オーナー双方のニーズを的確につかむ。「秋田住宅流通センターで働いていることが誇りに思える会社」を目指し、人材育成や社内福利厚生にも力を入れる。

ベテランの知見とITで仲介強化

業界経験20年の店長を配置県内7拠点の客付け力が強み

――秋田県内でトップクラスの管理、仲介実績の裏付けとして客付け力が強みと伺いました。

 秋田市を中心に約7000戸を管理しており、市内に本店のほか5店舗、横手市に1店舗を展開しています。仲介の強みとなっているのはやはり客付け力です。各店長は約20年の経験を持つベテランが揃っています。自社管理物件の入居付けに関しては社員がプロパティ・マネジメントにも精通しているため、オーナーに提案すべきポイントも押さえていることが奏功しています。オーナーが店舗へ相談に訪れることも多く、仲介店舗でありつつ、同時にオーナーの相談窓口になっています。

イメージカラーのピンクも鮮やかな本社ビル

イメージカラーのピンクも鮮やかな本社ビル

――入居者のニーズだけでなく、オーナーの立場に立った提案もできるという訳ですね。

 例えば市場に対して適正な家賃や入居者のニーズも的確に把握できています。宅配ボックスやインターネット無料など人気だがまだ充分整っていない設備も、リノベーションのチームや管理担当者と連携してタイミング良く提案できるようになってきました。空室になっている物件もオーナーが予算的な事情などでリフォームできないといった場合でも放置しておくわけにはいきません。修繕ができないのであれば、売却も考えるなど出口提案をしていくことも必要になります。

――新しい取り組みも始まっているようですね。

 2019年度は、課題解決の戦略チームとして、「IT・VR推進チーム」「マニュアル・規程チーム」「空室対策チーム」を設置するなど、業務改善を進めています。取り組みを始めたばかりで、成果が出始めるのは半年後以降かと考えています。全ての店頭にブースを設置しているVRによる内見にしても取り組みを始めて2、3年になり地元のテレビ番組でも紹介してもらうなど、やっと準備ができて、物件の練り込みによる接客業務の効率化も期待しています。

本店に設置したVRブース

本店に設置したVRブース

――新しい取り組みの大本には社長のどんな考えや背景があるのですか。

 秋田住宅流通センターで働いていることが誇りに思える会社にしていくことが理想と考えています。そこでまず、社員の福利厚生・働き方改革にも力を入れるようにしました。例えば就業規則を見直したり、休暇を取りやすくしたりといった取り組みです。時短勤務の導入や、産休から育休、職場復帰へのプロセスも確立しています。繁忙期には6店舗のうち3店舗ずつ異なる曜日に休業日を設けるようにしました。その方が、店を開けて社員が交代で休みを取るより効率的でリフレッシュもできます。実際にやってみると仲介実績も増える好影響につながりました。

――社員にとっては働きやすい環境ですね。

 人材育成にも力を入れています。社員の宅建資格取得を受講料など費用面も含めて支援しています。18年度には契約済みの重要事項説明をできる社員が倍増しました。結果として店長が重説する負担が減り、一層、営業に注力できるようになっています。資格を持っているというだけでなく、法律の知識があれば、事前にトラブルの芽を摘むこともできます。宅建士だけでなく賃貸経営不動産管理士や公益社団法人日本賃貸住宅管理協会(東京千代田区)認定の相続支援コンサルタントなどの資格取得も奨励しています。

――今後、いろいろな取り組みの成果を刈り取る段階に入ります。

 2018年9月に社長に就任しました。この3〜5年で私自身も、会社が向かう方向性について自信を持って示せるようになってきたと思います。業界での集まりには積極的に参加して、いろいろな人から教えられる場面も多いです。40代の経営者などとも互いに刺激し合い、成長の糧としています。同時に社員の意識も変化してきました。ベンチマーク研修として他社の業務を見る機会も増やしました。以前はただ「すごい」という感想にとどまっていたのが、今はどんなところが参考になるか、具体的な成果を持ち帰れるように変わってきました。そうした影響は営業成績にも表れています。営業上位3位のうち2人が新卒3年目、残る1人は中途採用の20代の若手です。いよいよ、新人がステップアップできる環境が整ってきたと思います。

社員発案で、美大生とアパート改装

 秋田住宅流通センターでは、社員の発案による新しい企画が実現している。

 19年2月には、地元の秋田公立美術大学の学生が賃貸アパートのリノベーションをデザインする企画を行った。海、カフェ、自然と三つのコンセプトでデザイン案を募集。14点の応募作から3点を優秀作品に選び、オーナーから提供してもらった築年数が約20年の賃貸アパートを改装。実際に入居も決まった。

学生のデザインでリノベーションしたアパート

学生のデザインでリノベーションしたアパート

 7月には『第一回社内プレゼン大会』を開催。新規事業や新商品、プロジェクト立ち上げなどを募ったところ10組がエントリーした。全国の不動産会社から業務プロセスをプレゼンテーションする大会を見て刺激を受けた社員からの発案だった。

 社員発信の企画を行うことで、社内の雰囲気を盛り上げ、仲介や管理、リノベーションなど担当部署を超える連携もスムーズになっている。

会社概要

社名 : 株式会社秋田住宅流通センター

住所 : 秋田県秋田市山王7-9-35

設立 : 1980年4月1日

資本金 : 1500万円

関連会社 : あきたタウン情報、秋田ピーシーエー、あきたマネジメントサポート、秋田ウェブコンテンツ

会社メモ


1980年4月に創業。秋田市内を中心に地域に根付いた住生活事業を展開する。賃貸仲介や売買仲介など従来の不動産ビジネスを柱に、総合的な資産運用アドバイザー、コンサルティング企業を目指す。

社長メモ


北嶋 暢哉社長1962年生まれ。小中学校での教職を経て、2015年4月に秋田住宅流通センター入社。管理本部長、専務取締役、代表取締役専務を経て2018年9月に社長就任。

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