毎日コムネットは、学生マンション市場にいち早く注目し業績を拡大してきた。2002年のJASDAQ上場時の売上高27億円は、20年5月期に191億円と約7倍を見込む。東京圏特化で差別化を図ってきた同社だが、今後は全国展開も本格化するという。
物件オーナーが個人から大手法人企業に変化
都心23区で差別化、入居者の7割が女子
――昨年で創業40周年を迎えました。少子高齢化の中で学生特化型は難しいといわれましたが、御社は業績を拡大してきました。
学生マーケットは20年前も、これまでも誤解している人が非常に多い。確かに、子どもの人口は減っていますが、首都圏の大学生数は横ばいで推移しています。上場時、証券会社や証券取引所の担当者から「これから少子化で子どもが減少していく。学生市場が先細る中での上場は厳しいのでは」と懐疑的な質問を受けたことを今でも覚えています。
――当社との対談が03年5月。17年前になります。当時は管理戸数2200戸でした。
懐かしい。もうそんなに前になりますか。(当時の紙面を見ながら)管理戸数の目標3000戸と言っていますね。現在では約4・4倍の9520戸。20年5月期は管理戸数1万戸を超える見込みです。時価総額でみると当時は約20億円でしたが、現在は時価総額170億円を超えました。
――御社は東京圏に特化し差別化を図ってきました。
当社の多くの物件が23区に立地しています。これが他社との大きな差別化になっています。多摩地区には1棟もありません。近年、多くの大学で都心回帰をしていますよね。22年には中央大学が後楽園にきます。当社は、当時から都心回帰を見越して23区に特化してきました。
――入居の7割が女子学生です。
女性向けマンションではないのですが、初めて親元を離れる女子学生の親としては、セキュリティーを心配する声が多い。女子学生数が増加していることも背景にあります。
――入居率100%と公表しています。
はい、4月時点の入居率は100%です。家賃回収率も100%ですね。この100%にはいったん忘れてしまって期日までに入金するというのも含んではいます。大学が一棟借り上げているものもあります。
大手の参入が目立つ、約1000戸保有する企業も
――物件オーナーの法人比率が上がっています。
大手企業の学生寮参入が目立ちます。最近だと三井不動産レジデンシャル、続いて大成有楽不動産が事業主です。名前は出せませんが、金融機関の子会社やリート各社もあり、1000戸近く持っている法人オーナーもいます。年々法人オーナーの比率が上がっており、現在は法人65%、個人24%です。
――それは意図的に?
いえ、結果的にそうなりました。建築コストの高騰で、個人オーナーが投資するほどの利回りが望めません。物件によって全く違いますが、平均的な利回りは5〜6%くらいです。この利回りでも、大手企業の法人オーナーであれば十分な投資利回りと言えます。