企業研究vol.067 エコホームズ 大野 勲 社長

エコホームズ 

インタビュー|2020年07月12日

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エコホームズ 大野 勲 社長(44)

 2018年から賃貸借契約の電子化に取り組んでいるエコホームズ(大阪市)は今夏、電子契約のシステムを拡充し、さらなる業務効率化を進める。入居の申し込みから契約、退去まで一気通貫の情報管理で、重複する転記作業や書類手続きをなくしたい考えだ。効率化を図る一方で、「ウェブセミナーや動画配信を増やし、視聴者からの相談の対応を強化することで、管理受託につなげたい」と意欲的に語る大野勲社長に今後の取り組みを聞いた。

電子契約で効率化進め、年間200戸の管理を新規受託

コロナの影響で鈍化も3割はオンライン手続き

 ―2018年から賃貸借契約手続きの電子化を進めています。

 自社管理物件への入居申し込みをオンライン化し、賃貸借契約を電子契約で行う取り組みをしています。現在1927戸の管理戸数は毎年約200戸ずつ増えていますが、なるべく人員を増やさずに管理戸数の増加を維持するためには、ITツールを活用した業務効率化が欠かせません。電子契約によって、契約書を郵送するコストや手間を削減できています。

 ―20年2月の実績は、75件中9割がウェブ申し込みで、約4割の32件が電子契約でしたが、直近ではどうでしたか。

 新型コロナウイルスの影響を受け、法人を中心に契約自体が少なかったです。4月は29件中19件がウェブ申し込み、4件が電子契約。5月は30件中17件がウェブ申し込み、9件が電子契約でした。電子契約ができなかったケースは、家主の許可が得られていない、連帯保証人が電子契約に必要なスマートフォンを持っていないなどが主な要因です。6月はまだ集計中ですが、2月の実施割合に戻る見込みです。

 ―緊急事態宣言中は在宅勤務を実施していましたか。

 社員の半分が在宅勤務でした。もともと社員にスマホを支給していたので、新たにノートパソコンを8台ほど購入し必要な社員に貸与しました。リモートデスクトップ接続によって、自宅や外出先からでも会社のパソコン経由で社内サーバーにアクセスできる仕組みを構築したため、業務に支障はありませんでした。ただ、当社の仲介事業は法人客が多いこともあり、他県から内見に来ることができないケースが目立ちました。その場合は、営業社員が室内をLINEやスマホのテレビ電話機能で映しながら説明したり、事前に録画した室内の動画を提供したりしました。

 

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新大阪駅近くの店舗

 ―新型コロナウイルスによって、不動産会社が不動産取引のオンライン化に意欲的になったと感じています。

 私も同じ考えです。当社にも同業者から電子契約の運用スキームを知りたいと問い合わせが複数ありました。消費者にとってもテレビ会議システムやオンライン手続きが身近になっているため、賃貸住宅業界における電子化はますます加速すると思います。

 ―電子契約のスキームは新たな展開を迎えるそうですね。

 これまで利用していたシステムに加え、イタンジ(東京都港区)が提供する入居申し込み、電子契約、退去立ち会いのシステムを導入します。8月には稼働し、繁忙期に備えたいですね。これまで難しかった複数の家賃保証会社や、宅建業者向けの物件情報サイトとの連携が可能になるため、物件募集から契約、退去まで一気通貫での情報管理を実現させたいと考えています。基幹システムへの入居者情報の転記にはRPAを活用し、さらに業務効率化を進めます。

 ―他にもITツールを活用した業務効率化に取り組んでいますか。

 先ほどのLINEですが、当社は1年ほど前に管理物件の定期巡回と清掃を内製化しました。清掃が行き届いていなかったり、ちょっとした修繕に時間がかかってしまっていたためです。シルバー人材を2人採用し、スマホを持たせ、毎日の業務連絡や作業報告をLINEで行っています。その場で清掃後や修繕後の写真をアップし、点検項目のチェックシートを共有しています。営業社員はその情報を家主に報告していますが、今後は巡回スタッフが直接、家主に報告できる仕組みに変えていきたいですね。さらに、遠方にある管理物件への定期巡回は非効率なので、近所に住む主婦に仕事を依頼できるサービスの活用も検討しています。

管理受託につながる動画やウェブセミナー配信を強化

 ―業務の効率化を進める一方で、今後注力していきたい事業は何でしょうか。

 管理獲得につながるセミナーや相談の対応です。当社は5年ほど前から、月1、2回のセミナーを欠かさず開催してきました。新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、ウェブセミナーに切り替えたところ、それまで10~20組程度だった聴講者が増えたのです。初めてのウェブセミナーをした5月7日の参加者は60人ほどで、すでに2件の相談につながっています。単に人数が増えただけではなく、エリアも広がりました。大阪に収益物件を持っている首都圏在住の家主など、これまでのリアルセミナーでは集客できなかった人も聴講してくれ、大きな可能性を感じています。そのため今後は、10分程度の動画配信を始めます。これまでのセミナーで蓄積した知識やノウハウを分かりやすく動画にまとめ配信し、さらに「空室対策=エコホームズ」のブランディングを構築していきます。

 ―動画を見た人が管理受託につながるということですね。

 セミナーの場合、受講から1、2年たって個別相談や売却、管理受託につながることも珍しくありません。セミナーをできる人材育成や動画配信を強化し、その後の個別相談の対応にしっかりと労力を割いていきたいと思います。 

多くのマラソン大会に出場

 フットサル、ゴルフ、トレーニングジムなど体を動かすことを好む大野社長だが、「新型コロナウイルスの影響でマラソンは大会が中止になり残念」と肩を落とす。5年ほど前に始めたマラソンは、シーズンになると毎年、月に1、2回は大会に出場していたという。2018年は大阪マラソンを社員8人と走ったり、19年は万里の長城での大会に出場した。

 「30kmのコースで急斜面が多く、壁をよじ登るような場所もあった」と大野社長は当時の記憶をよみがえらせる。世界中からランナーが来て盛り上がるマラソン大会にまた参加できる日を楽しみにしているようだ。

 

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万里の長城マラソン大会に出場

会社概要

社名 :エコホームズ
住所 :大阪府大阪市淀川区宮原1丁目1-38
設立 :2011年9月
資本金 :1000万円
従業員数 :17人(社員9人、パート8人)
管理件数 :1927戸
事業内容 :賃貸仲介、売買仲介、賃貸経営の管理業務、住宅再生リノベーション、コインパーキング運営、社宅代行など

会社メモ

 Century21に加盟しており、新大阪駅前に店舗を構えている。賃貸管理事業を軸に売買・賃貸仲介、資産活用、リノベーション事業を展開。新規に受託する管理物件の8割は、家主や不動産会社などからの紹介。定期的なセミナー開催も奏功している。

社長メモ

 大阪市出身。21歳で大手フランチャイズ加盟の不動産会社に入社。全国FC加盟店の中で、月間売上1位を1年間で6度達成した経歴を持つ。2013年にはCPMを取得。家主の資産最大化、入居者の満足度向上のため「ありがとう」と言ってもらえる賃貸管理を目指している。

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