低コストで実現できる入居促進として近年注目を浴びているホームステージング。入居者に合わせた小物や家具を入れることで、内覧時の反応が大きく違うという。賃料の約1カ月分のコストで活用できるため、手軽に行えることも利点の一つ。ホームステージングの普及に尽力する(一社)ホームステージング協会の杉之原冨士子代表に話を聞いた。
梱包の経験を生かし片付けの魅力を広げる
亀岡 ホームステージングはどういった事業ですか。
杉之原 室内に家具や小物、インテリアを入れることで物件流通の活性化を促しています。また、部屋の片付け、掃除、遺品整理を含めて住まいに関することをトータルで提案することで、入居者がより豊かな暮らしを提供しています。
亀岡 もともとは欧米で中古物件を売買する際に活用され始めた事業でしたね。日本でもオフィスビルや高齢者向けの住宅に入居者の生活イメージが掴めるような工夫が行われていたことが先駆けでしょう。賃貸業界では高齢化、人口減少や空き家など、様々な問題がはびこっています。これらの解決にも一役買っているわけですね。代表を務めている(一社)ホームステージング協会はどういった活動を行っていますか。
杉之原 ホームステージングの普及啓発と、実務としてホームステージングを行うホームステージャーの育成を行っています。資格の認定講座を全国で設けて、プロフェッショナルな人材を輩出しています。現在約2000人の会員がおり、オーナーや管理会社、リフォーム会社、掃除洗濯代行会社など、幅広い業界の人が活躍しています。
亀岡 法人を立ち上げたきっかけは何だったのでしょう。

日本ホームステージング協会
杉之原 冨士子 代表
1957年茨城県生まれ。東京家政大学家政学部卒業。運送会社のパート勤務を経て、2011年に女性スタッフによる梱包・開梱サービスを専門とする会社を立ち上げる。片付けに対する世間のイメージを変えたいという思いから13年に一般社団法人日本ホームステージング協会を設立。入居者の住まいや暮らしの質を上げるという視点から、ホームステージャーの育成と普及活動を行う。
- 日本ホームステージング協会
- 本社所在地 : 東京都江東区木場6―4―2木場KIビル4階
- 設立 : 2013年8月
- 事業内容 : ホームステージング普及啓発、「ホームステージャー」認定講座の実施

経済評論家 亀岡 大郎 氏
大正15年京城生まれ。新大阪新聞経済部長を経て、経済評論家となる。文藝春秋、サンデー毎日など一流紙で、経済・財界問題を中心に、精力的な活動を続ける一方で「自動車戦争」「ゲリラ商法」「IBMの人事管理」などベストセラー多数。