居室内の空調や家電を遠隔で操作できるIoTサービスが増えるなか、目立った成功事例はいまだ少ないのが現状だ。
「実用化にはIoTのインフラ整備とサービスの融合が必要」と話すのは、RocketBase(ロケットベース・東京都港区)府川誠二社長。
不動産会社の新たな収益源確保、入居者の利便性向上の仕組みづくりについて今後の展望と問題点を聞いた。
スマートホームとチャット機能を融合
府川 ロケットベースの府川と申します。
亀岡 ロケットでも造っているのですか。
府川 笑。ロケットのように打ち上がりたいという意味を込めております。ロケットを打ち上げるためには発射台が必要ですが、まずはその土台となるサービスを固めています。
亀岡 具体的にはどんな仕事をしていますか。
府川 IoTを活用したスマートホームや不動産会社と入居者をつなぐコミュニケーションアプリ『RocketHome(ロケットホーム)』を開発しております。入居者は、空調や照明などの家電をアプリで遠隔操作できたり、水漏れなどの生活トラブルが起きた際にコールセンターに連絡することができます。管理会社とも気軽にチャットでやりとりができます。管理会社側にとっては、入居者が検索サイト上で調べた内容を基に退去する可能性があるかどうかという『退去予測』をする機能もついております。
亀岡 今の時代はスマートフォンで何でもできますね。退去時期まで予測できるとは面白い。
府川 ありがとうございます。入居者のウェブ検索結果などから、その人が何カ月後に退去する可能性が高いかをビッグデータから推測することができます。この結果を管理会社が知ることで入居者へ新しい物件を紹介したり、コンタクトを取るきっかけとすることができます。現在は、学生寮やシェアハウスで導入されています。
亀岡 システムを活用し始めたのは証券業界が早かった。野村証券や大和証券はいち早く株価の予想にデータ分析を取り入れていました。それが今では当たり前となっています。
府川 システムについても詳しいのですね。
亀岡 IBMにはよく出入りしていました。
府川 IBMといえばパソコンの原点ですね。
Rocket Base(ロケットベース)
府川 誠二 社長
1980年3月22日生まれ。 群馬県高崎市出身。学生時代は、父親の仕事の関係でアメリカで1年間を過ごす。 24歳のころ、デザイン・印刷会社を設立。CGアプリ制作やデコレーションドレスなどデジタルを活用した事業を手掛ける。 31歳でデロイトトーマツコンサルティングのデジタル部門立ち上げの総責任者に抜てきされ、大手自動車メーカーや電機メーカーのコンサルティングに携わる。 34歳で不動産のデジタル化推進を掲げ現在の前身の会社を設立。趣味は、映画鑑賞とサーフィン。
- Rocket Base(ロケットベース)
- 本社所在地 : 東京都港区西麻布3—22—10
- 設立 : 2018年6月 資本金 : 100万円
- 事業内容 : IoT・アプリ開発、不動産管理支援サービス
経済評論家 亀岡 大郎 氏
大正15年京城生まれ。新大阪新聞経済部長を経て、経済評論家となる。文藝春秋、サンデー毎日など一流紙で、経済・財界問題を中心に、精力的な活動を続ける一方で「自動車戦争」「ゲリラ商法」「IBMの人事管理」などベストセラー多数。