防犯性と使い勝手を両立【入居者の利便性高める 住宅設備PICK UP!】

アルファ,ゴール,Qrio(キュリオ),パナソニック,パナソニック・エレクトリックワークス社,アイホン,ファイバーゲート,川口技研,川喜金物,DOORCOM(ドアコム)

商品|2023年10月17日

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 物件の魅力を左右する住宅設備。入居者の利便性のほか、管理会社の業務効率化に寄与する製品も導入が広がる。ここでは認知が進むスマートロック、定番人気設備のインターホン、収納機能も備える室内物干しを紹介する。

入退去時の管理も容易

【スマートロック】多様な解錠方法を提供 直径1cmのシールを鍵に

 鍵メーカーのアルファ(神奈川県横浜市)が提供する賃貸住宅用電気錠「edロックPLUS(プラス)」シリーズは、9月5日時点で設置台数が累計100万台を突破した。

 解錠方法は暗証番号、ICカードのほか、シールタイプの鍵であるシールキーも用意。シールキーは直径1cmほどの大きさで、日常的に使う小物などに貼り付けることで鍵として利用できるようになる。電気錠本体は単3形アルカリ乾電池4本で稼働し、1日10回の開閉で約2年間持つ。

シールタイプの鍵画像

解錠方法の一つであるシールキー。小物に貼り付けて解錠する(アルファ)

 レバーハンドルタイプのドアであれば、新築・既築を問わず設置することが可能だ。自動車部品やコインロッカーの開発・製造も手がける同社の技術力を生かした品質の高さが強み。自社によるアフターサービスも提供する。金額は4万480円(税込み)となる。

 ワンタイムパスワードの発行機能が付いた電気錠「edロックPLUS-OTP」も提供する。内見希望者1人で内覧する「セルフ内覧」を行う際に、一時的に解錠可能になる暗証番号を内見希望者に発行することができる。金額は4万7080円(税込み)。仲介時の鍵の管理における業務効率化に寄与するとして、管理戸数が1万戸を超える大手地場不動産会社に採用されることが多い。

 錠前の製造・販売を行うゴール(大阪市)は4月より、賃貸住宅向けスマートロック「LaresIA+(ラレシアプラス)」を販売している。テンキーやカード、スマートフォンなどでの解錠が可能な電池式スマートロックだ。IoT機器などを開発しているQrio(キュリオ:東京都渋谷区)と協業し、スマートロック管理システム「Roomon(ルーモン)」と連携。スマホアプリを使用しての施錠・解錠やシステム上での鍵の管理などを可能にした。

正面以外からはテンキーが見えない鍵画像

正面以外からはテンキーが見えない「覗き見防止機能」も好評(ゴール)

 入居者はアプリを使って解錠履歴を確認できる。外出先から施錠・解錠を行うことも可能だ。家族や訪問者に合鍵を発行する機能も搭載している。管理会社やオーナーは、アプリ上で入居者と鍵の受け渡しができるため、入退去時や鍵の紛失時の作業軽減につながる。有効期限付き暗証番号の発行で、内見事業者や清掃事業者の入室にも対応可能だ。

 LaresIA+の本体には、「ダミーキー機能」やサムターン回しを防ぐ「防犯サムターン」など、錠前メーカーならではの安全性に配慮した工夫が盛り込まれている。本体価格は6万9300円から。Roomon利用費は本体1台につき月額880円(いずれも税込み)だ。

【インターフォン】自動音声で用件を確認 タッチパネルで操作

 大手電機メーカーのパナソニック(東京都港区)は、賃貸を中心とした新築の小規模集合住宅向けインターホン「Windea-C(ウィンディアキューブ)」を展開している。

 同製品は3.5型の大きさで録画機能を標準装備する。通話・解錠は液晶画面下のタッチパネルで行う。

 22年7月のリニューアルで、来訪者からの呼び出しに対して名前と用件を尋ねる自動音声を流す「あんしん応答」機能を搭載した。在宅時は、手動による設定で入居者が来客への応対をしなくても来訪者の用件を確認できる。不在時には、自動設定に切り替えることで、来訪者の映像と音声を記録し、帰宅した際に来訪者の用件を確認することが可能だ。

録画した動画はズームして確認することができる画面画像

録画した動画はズームして確認することができる(パナソニック)

 リフォーム向けには、既設のインターホンサイズを考慮した大きめのサイズとなる「Windea―C PLUS(プラス)」を用意。Windea―Cの機能に加え、スマホやタブレットから来客への応対ができる機能を装備している。

 23年9月21日には、新築集合住宅向けの最上位商品として「Clouge SQUARE(クラウジュスクエア)」の販売を開始。パナソニックが提供するスマートホームサービス「AiSEG2(アイセグツー)」と連携することで、インターホンを通じてエアコンや照明、ガス給湯器などの機器の操作が可能になる。音声による操作に加え、壁面に設置する各機器のリモコンをインターホンに集約することができる。

 パナソニック・エレクトリックワークス社の吉井祐二課長は「商品自体の機能拡張だけでなく、他社とも連携しながらインターホンを通じた、ソフト面のサービスを強化していきたい。置き配への対応や、掲示板の代わりに入居者へのお知らせをインターホンに表示するなど、SDGs(持続可能な開発目標)に貢献するようなサービスを考えている」と語る。

 インターホンなどの製造・販売を行うアイホン(愛知県名古屋市)が賃貸住宅向けに多く提供するのは、中・小規模集合住宅向けインターホン「PATMOα(パトモアルファ)」シリーズだ。基本機能を備える安価なタイプからスマホと連動することができる高機能のタイプまで、幅広い製品をそろえる。

 最も販売数が多い居室親機は、3.5型のモニター付きの「GBM-2MA」。後から来訪者を確認できる「自動録画機能」や、電気式宅配ボックスと接続して着荷を通知する機能などを備える。同社の既存製品より一回り大きいサイズであるため、古くなった同社製品と取り換える際にクロスを貼り替える必要がない。希望小売価格は6万4900円(税込み)となる。

 2月には、スマホ連動型の「GBM-2M7」を発売。専用アプリをダウンロードしたスマホを使い、外出先などでも来訪者への応対を行うことができる点が大きな特長だ。モニターは7型ワイドのタッチパネル式。ボタンなどの凹凸がほとんどないスタイリッシュなデザインとなっている。

スマホ連動型のGBM-2M7画像

スマホ連動型のGBM‐2M7。大きな画面で来訪者を確認可能だ(アイホン)

 IoT設備を導入するマンションなどを中心に、9月28日までに約450台の販売実績がある。希望小売価格は12万5400円(税込み)だ。

 国内営業本部営業推進部販売促進課の井上昌彦課長は「機能面はもちろん、デザインや施工のしやすさなどでも改善を重ね、さまざまなタイプの住宅のニーズに応え続けたい」と話す。

 通信サービスや機器製造を手がけるファイバーゲート(東京都港区)は、スマホで外出先から応答できるインターホン「FGスマートコール」を提供している。

 専用のスマホアプリ「BrainMon(ブレインモン)」を使い、来訪者への対応が可能だ。鍵の解錠操作のほか、家族や友人、配送事業者など、来訪者の属性を設定できる機能を持つ。例えば、家族ならエントランスのオートロックを自動で解除する、配送事業者なら宅配ボックスの利用や置き配を依頼するなどだ。

アプリで来訪履歴も確認画面画像

アプリでは来訪履歴も確認できる(ファイバーゲート)

 インターホンには顔認証機能も備わっているため、来訪者の顔情報を一度登録しておけば、2回目以降の来訪時に自動で識別。事前に登録した方法で応対させることもできる。入居者の帰宅時には顔認証によるオートロックの解除が可能だ。

 3月1日より販売を開始。9月末時点で北海道や大阪府などで導入済みの物件を含め、全国で約30棟から受注している。導入した物件の管理会社によれば、インターネットを活用したサービスが物件の付加価値になると考えたという。ファイバーゲートでは、入居促進や家賃の下落防止に役立つ商品として提案していく。

 製品のタイプは、外壁への埋め込み型と、スタンドを使った自立型の2種類。新築のほか既存物件にも対応することができる。料金は、埋め込み型が66万円、自立型が95万7000円。別途、サーバー利用料が1戸あたり275円(いずれも税込み)となる。

埋め込み型の設置事例画像

埋め込み型の設置事例(ファイバーゲート)

【物干し】収納兼ねる室内物干し 使い方に合わせアーム開閉

 室内錠や物干し金物などの住宅設備を製造・販売する川口技研(埼玉県川口市)は、収納としても使える室内用物干し「ホスクリーン hoshare(ホシェア)」を販売している。

 賃貸住宅にも多く採用されている、天井面に設置する室内用物干しを取り扱ってきた同社としては、初の壁面に取り付けるタイプ。下地がある壁に対してねじで本体を固定して取り付ける。物干しざおは使用せず、幅60cmの本体の両端についた長さ35cmのアームに洗濯物を干す。

 アームは水平に最大約180度まで動かすことが可能。90度開けば物干しに、壁に沿って180度開けば衣類掛けになり、本体側に折り畳んでコンパクトに収納することもできる。操作がわかりやすく、直感的に使える点が好評だ。

洗濯物干しとしての使用例画像

洗濯物干しとしての使用例(川口技研)

 同社では、乾いた洗濯物をハンガーごと壁側に寄せてアームを畳み、そのまま衣類掛けにする「寄せ収納」や、玄関に設置してコートについた水滴や花粉を落とすといった使い方を提案している。本体にはフックが二つ付いており、玄関先で使うものを掛けたり、ワイヤーを網状に交差させたパネルなどを下げて小物をさらに掛けられるようにしたりすることもできる。

 耐荷重はアーム1本につき5kg、フック一つにつき3kgだ。価格は2万7500円(税込み)となる。

 現時点では、玄関に設置する使い方を評価して導入に至るケースが多いという。営業第一部の高橋亮太郎氏は「洗濯物が多くない単身者向けの物件や、専用の収納が少ない物件など、賃貸住宅への提案を進めていきたい」と話す。

 家具・建具用の金物や室内物干しなどの住宅設備の製造・販売を行う川喜金物(大阪府東大阪市)は、石こうボードの壁に取り付ける室内物干し「ルームハンガーブラケット」を販売している。

 石こうボードの壁であれば、どこにでも取り付けられる点が特長。壁に対して斜めにツメを挿し込むV字形の金具を使用することで、下地がない壁にもしっかり物干しを固定する。耐荷重は10kgだ。

 洗濯物を干さないときは、物干しざおを外して、シャツやコートなどを掛ける収納として利用することができる。賃貸管理会社からの問い合わせのうち3割程度は、収納機能に着目してのものだという。

narrow styleの設置例画像

narrow styleの設置例(川喜金物)

 同製品は15年より販売を開始。物干しざお1本掛けタイプの「RHB-SN」と、2本掛けタイプの「RHB-WN」の2種類を展開する。21年2月には同シリーズとして、アーム部分を樹脂製にすることにより小型軽量化を図った「narrow style(ナロースタイル)」を発売した。出荷数自体はRHB-SNが圧倒的に多いが、管理会社からの引き合いはnarrow styleが約6割を占めるという。営業部特需課の藤原一穂課長は「narrow styleは広くない部屋にも違和感なく設置できる点が評価されている。物干しだけでなく、賃貸住宅で不足しがちな収納を補う洋服掛けとしての需要にも期待している」と話す。

 RHB-SN、RHB-WNの定価は1万3200円(税込み)。narrow styleはオープン価格となっている。

DOORCOM、複数機器をシステム制御

入居者への連絡機能も

 マンションのエントランス設備を販売するDOORCOM(ドアコム:東京都港区)は、集合玄関機や室内モニター、スマホアプリなどを通じて入居者に高いセキュリティー性と利便性を提供する。

 同社が展開するIPネットワーク対応型のインターホン「Akuvox(アキュボックス)」は、複数メーカーのスマートロックと連動する。解錠方法はICカード、顔認証、暗証番号、QRコードなど。通話で入居者に暗証番号を伝えることも可能だ。入居者向けの鍵管理アプリ「SmartPlus(スマートプラス)」を活用すれば、外出先でも来訪者の確認や解錠を遠隔操作することができる。

多彩な機能を搭載したSmartPlusの画面画像

多彩な機能を搭載したSmartPlusの画面

 不動産会社には同名のクラウドシステムを提供。入居者に個別または一斉に連絡事項が通知可能で、鍵管理とコミュニケーションの両方の機能を併せ持つ。鍵の解錠履歴や暗証番号の管理ができるほか、クラウド型防犯カメラと接続すれば、指定した日時の映像検索も容易に行うことができる。他メーカーの見守りサービス機器やIoT製品とも連携可能で、今後もその数を増やしていく。

 今後はスマート宅配ボックスの提供を開始する予定だ。荷物の配送日時や受け取り履歴などを管理システムで確認することができ、誤配送や長期保管への対応もしやすくなる。松井伊織社長は「共用部も含め建物全体をスマート化できるサービスだ」と話す。

(2023年10月16日10・11面に掲載)

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