電子書面交付社会実験、「積極活用」113社中3社のみ

法律・制度|2019年12月09日

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 国土交通省が実施する「賃貸借契約における電子書面交付」の社会実験に参加登録している企業が113社ある中で、意欲的に取り組む不動産会社はわずか3社だ。電子交付による業務効率化に期待ができる一方で、多くの不動産会社は繁忙期直前のタイミングで業務フローの変更が間に合っていない。社会実験は10月1日から3カ月間の期限を設けており、12月末に終了する。検討に十分な実施件数に達しなければ、ウェブで完結する契約手続きの実現が遅れをとることになる。

繁忙期前の業務フロー変更が困難

 今回の社会実験は、これまで書面交付が義務付けられていた賃貸借契約書と重要事項説明書を、PDFで不動産会社が借主にメールで送るなど電子的な方法で交付するものだ。借主がタブレットやパソコンで文書を確認し、署名・押印をして契約する。その契約書等を紙で渡さず、電子的な交付で、取引に支障がないかを検証する。

 ただ、現行の宅地建物取引業法で義務付けられているのは契約に関する書面を紙で借主に交付することであり、契約書に署名・押印する方法については定められていない。電子交付の社会実験で実施件数を伸ばしているのは、以前から署名・押印をウェブ上で行う「電子契約」や、重要事項説明を対面ではなくウェブ会議システムでできる「IT重説」に積極的に取り組んできた不動産会社だ。

 意欲的に取り組んでいるのは、三光ソフラングループのアップル(さいたま市)、ユーミーらいふグループのユーミーネット(神奈川県藤沢市)、ミリーヴグループの明和不動産(熊本市)の3社である。11月末時点でアップルは18店舗で53件、ユーミーネットは25店舗で40件、明和不動産は4店舗で10件を実施した。ユーミーネットはグループで運営する全店舗で、アップルと明和不動産は店舗を限定して、電子交付を行った。国交省によると「あとは1~4件ほど実施している企業が数社程度」という。

 電子書面交付社会実験の難点は、賃貸借契約に関連する書類手続きが多く発生する点である。社会実験で電子交付するのは、契約書と重要事項説明書だが、実務では家財保険や家賃債務保証会社、駆け付けサービスへの加入契約など、ほかにも複数の書類が存在する。こうした手続きもまとめて電子化しておかなければ、余計な手間がかかってしまう。契約書と重要事項説明書はPDFであるのに、他の手続きは郵送した書類で行うことになってしまうからだ。すでに契約にかかわる複数の書類を電子化していれば、社会実験での電子交付によって、郵送の手間がかかるケースは少ない。

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