公募額39億円、住宅以外での案件も検討
「ブロックチェーンは不動産投資に新しい可能性を生み出すと考えている」。そう話すのは不動産投資事業を行ういちご(東京都千代田区)のグループ会社、いちごオーナーズ(同)の纐纈(こうけつ)雅彦社長だ。
いちごグループとしての不動産 STO(セキュリティー・トークン・オファリング)の実績は2件。対象不動産は東京都内にある複数棟の賃貸マンションだ。資産規模は合わせて約120億円、公募総額は39億3700万円となった。運用期間は5年ほど、分配金利回りは共に4%とした。
物件の選定・供給は、いちごオーナーズが担当する。「バランスシート上にある不動産の中から、STOを通じて購入される顧客のニーズに合った物件タイプや規模、エリアといった条件を基に物件を選び出し、サプライヤーとして供給する立場にある」(纐纈社長)
アセットマネジメントは、いちご投資顧問(同)が行う。不動産を信託受益証券化する。2件の引受先はSBI証券(東京都港区)だ。販売方法は対面とインターネットで、その比率は同程度。今後はネット販売が増えていくとみる。
ブロックチェーン基盤は三菱UFJ信託銀行(東京都千代田区)の「 Progmat(プログマ)」を採用するが、ほかのシステム基盤を使う可能性もあるという。
投資家は30~40代が6~7割を占めるが、2号案件は70代を超えた投資家もいた。この理由として纐纈社長は「いちごグループのファンが一定数いるのでは。いちごオーナーズが5%未満の出資をしていることもあり、グループの商品として、安心感があると購入しているのだろう。リピーターもいると聞く」と話す。
個人投資家向け商品を充実
いちごグループはBtoBのビジネス展開をしてきたが、BtoCの事業を行う会社として2017年に設立したのが、いちごオーナーズだ。