前回(7月10日号)の連載で、神奈川県逗子市の分譲マンションの敷地にある斜面が崩れて、下の歩道を歩いていた女子高校生が60トンの土砂に巻き込まれて死亡した事故について述べた。
管理会社の社員が、事故の前日にマンションの管理人から「斜面に数メートルのヒビがある」と報告を受けたにもかかわらず、斜面が崩れた翌日の午前8時までに適切な対応をしなかったということで、業務上過失致死の疑いで書類送検されたものだ。
段取り決めに5分確保
遺族はマンションのオーナーと管理会社に総額1億円以上の損害賠償を求めている。管理会社のスタッフに実際にどこまで「予見の可能性」があったか、また「結果回避の可能性」があったかが焦点となるだろうが、これでもし起訴されたとしたらかなり厳しい判断と言わざるを得ない。検察の見解に注目したい。
どちらにせよ、今後は管理会社のスタッフのリスクに対する「想像力」と「処理能力」をより鍛えなければならないということになる。
しかしながら、われわれの業務の現場においては、「想像力」以前に「担当者が多忙で着手が遅れる、または忘れてしまう」ということはよく起きているのではないか。クライアントから返事がまだない、あの件はどうなっている、などと怒られてはいないだろうか。