物価上昇が止まらない。収益物件オーナーも、不動産会社社員も可処分所得が下がってしまう。そのために、今、なにをすべきか。
物価は向上も給料は上がらず
2023年10月20日公表された総務省統計局の消費者物価指数は、20年を100として106.2であった。19年同月比は3.0%の上昇。豊作不作で変動する生鮮食品と、政府がテコ入れしているエネルギー価格変動の双方を除くと、19年同月比は4.2%であった。
物価が上がっても給料が上がらなければ生活は苦しくなる。物件が古くなり家賃が下がる一方で、オーナーの可処分所得は低下。不動産会社の売り上げ・利益が上がらなければ、給料も上がらず、生活は困窮してしまう。繁忙期前、この12月の動きがラストチャンスなのだ。
24年10月19日の春季生活闘争基本構想で、連合(日本労働組合総連合会)が基本給を一律に上げるベースアップ(ベア)と定期昇給(定昇)を合わせて「5%以上」の賃上げを求める方針を固めた。賃上げ分3%以上、定昇相当分(賃金カーブ維持相当分)を含め5%以上の賃上げという方針でかなり強いメッセージである。
「連合は大手の東京の労働組合」という誤解があるが、「大中小」あわせて「全国」の労働組合が「連合」して交渉しようという団体だ。デフレ経済からインフレ経済と変わり、労働者としても「物価上昇以上の賃上だ」と要求ステージは変わっている。
新築と築30年で賃料格差広がる
とはいえオーナーの労働組合はない。多くの不動産会社にもない。
仲介手数料も管理料も家賃に連動しており、いくら、首相が「物価上昇以上の賃上げを企業には求めます。なにしろ、経済経済経済」と言っても、売り上げが上がらないことには給料を上げる原資はない。
一方で、新築の家賃と築30年の家賃格差が広がっている。新築は、原材高騰・円安・建築労働費の上昇などで、建築費が上がり、利回り確保のため家賃設定がかなり高い。ところが築古は世帯数減少・空室増加のあおりを受けて、築30年を超えると、安い。
ここまで書くと「家賃を上げるなんて無理」という声が必ず出る。「人口が減り、空室が増え、物件は歳を取る。一方で入居者の給料はなかなか上がらない。
電気もガスも小麦粉もキャベツも、みな値段が上がるのに家賃まであげたらかわいそうだ」という声もある。
しかし、次の募集では相場賃料より、ちょっと家賃を強気に提示してみてはどうだろうか。なにしろ新築は高い。もちろん、設備強化はして魅力は上げる前提だ。