ペット飼育禁止特約違反での賃貸借契約解除

【連載】弁護士が解決!!身近な不動産トラブル 第108回

賃貸経営|2023年12月15日

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 私は物件を賃貸しているオーナーですが、先日来、賃借人が居室内で小型犬を飼っていることが発覚しました。この賃借人との賃貸借契約書を確認したところ、「犬・猫などのペットを飼育してはならない」との特約があり、賃借人がこの特約に違反した場合には、特段の催告をすることなく、当然に賃貸借契約が解除されると記載されています。賃借人を退去させることができるのでしょうか。

ペット無断飼育でも退去不可 「信頼関係の破壊」が争点

 賃貸物件でペットを飼育する場合、ペットの鳴き声、排せつ物、臭い、毛などによって、賃貸物件に傷・悪臭や衛生上の問題に基づく損害を与える恐れがあるほか、ほかの入居者に対しても迷惑や損害を与える恐れがあります。

 このようなリスクを未然に防ぐため、賃貸借契約の際に、いわゆるペット飼育禁止特約が定められることも少なくありません。

 賃借人は、賃貸人に対し、賃貸物件を契約や目的物の性質により導かれる用法にしたがって使用収益する義務を負っています。(用法順守義務)

 ペット飼育禁止特約がある場合に、賃借人がペットを飼育したときは、用法順守義務違反に基づき、債務不履行責任を負う可能性があります。

 もっとも、ペット飼育禁止特約があっても、ペットを飼育した場合に常に賃貸借契約を解除することができるわけではありません。なぜなら、建物賃貸借契約の解除については、いわゆる信頼関係破壊の法理が採用されており、形式的に契約違反があったとしても、それが賃貸人と賃借人の間の信頼関係を破壊するに足りる程度のものであることが必要とされるからです。

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