経営方針、商品の理解深める
「こちらの倉庫で入居者の残置物を保管しています」。1月13日、賃貸保証事業を手がける日本賃貸保証(以下、JID:千葉県木更津市)のスタッフが、家主への事業説明を兼ねて本社や関連施設を紹介しながら歩いていた。
家主の会「戸建ゼロ円ゲット(以下、ゼロイエ)」が開催した見学ツアーの一場面だ。連帯保証人による保証に代わり、家賃滞納などのリスクに備える保証サービスの利用は一般的になった。一方、保証会社の経営方針や実際の保証範囲は会社によって異なり、想定していた保証を享受できなかった経験を持つ家主も増えつつある。
今回の見学ツアーは、ゼロイエの代表を務める杉田卓哉オーナーとカネコツトムオーナーが、保証サービスや保証会社の取り組みについて理解を深めることを目的に、JIDと共同で企画したものだ。
参加した40人超の家主は、木更津市にあるJIDの本社社屋内を歩きながら実務に関する説明を受けた。本社に隣接する倉庫では、JIDグループで引っ越しサービスを展開するムービングマスタージャパン(同)による残置物の保管状況を見学。入居者が残した遺骨などを供養する「永代供養墓」にも足を運んだ。その後、本社敷地内に立つ研修施設で、JIDの梅田真理子社長が保証事業に対する思いを、自身の経験を交えながら参加者に伝えた。
JID側の企画メンバーであるセールスリレーションシップマネージメント・統括セールスマネージャーの木村聡志氏と宍戸祐太氏からは、保証業界の成り立ちや、利用が増えていることの背景、約款に起因するトラブルなどの解説もあった。
会社数も増え、保証市場が成熟期を迎える中、「何をどこまで保証してくれる会社なのか」を、オーナー自身が理解したうえで選択することの重要性は増しているといえる。滞納家賃を中心とする金銭債務の側面にかぎらず、生活困窮者の支援などを通じて賃貸借契約自体を保証しようとするJIDの取り組みを、会社見学ツアーという形で家主に伝えたことには意義があっただろう。
見学ツアー実施後、宍戸氏は「会社のことをしっかり知ってもらう良い機会になった」、木村氏は「不動産業を知り尽くした創業者が立ち上げた当社だからこその取り組みを伝えることができた」と、それぞれコメント。ゼロイエの杉田オーナーは「会社やそこで働く人に実際に接することで深く勉強できた」、カネコオーナーは「家主として入居者の幸福は無視できない。入居者に安心してもらうための保証サービスであることを改めて理解した」と感想を述べた。
(2024年2月12日9面に掲載)