当社は、賃貸借契約において発生する賃料等を賃借人が支払わない場合に、それを賃借人に代わって立て替えることを業務とする家賃保証会社です。賃借物件にしばらく賃借人が出入りした形跡がなく、賃借人とどうしても連絡が取れないような場合に、裁判等を経ずに部屋の明け渡しを完了させることはできるでしょうか。保証契約につき何らかの条項を入れておくことで解決できないか知りたいです。
部屋の明け渡しに関する規定 実効性はケース・バイ・ケース
保証契約において、①賃貸借契約における賃借人が賃料等の支払いを2カ月以上怠り、②保証会社が合理的な手段を尽くしても賃借人本人と連絡が取れない状況の下、③電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況等から賃借人が賃借物件を相当期間利用していないものと認められ、かつ、④賃借物件を再び占有しない賃借人の意思が客観的に読み取ることのできる事情が存在するときは、賃借人が明示的に異議を述べない限り、保証会社において賃借物件の明け渡しがあったものとみなすことができる旨規定し、また、その場合には、保証会社が賃借物件に残置されていた動産類を任意に搬出・保管することができる旨規定されていること(以下、併せて「本件規定」)が、消費者の利益を一方的に害するものではなく、消費者契約法第10条に反しないという判断が、2021年3月5日、大阪高等裁判所においてなされました(なお、控訴人であるNPO法人消費者支援機構関西は、最高裁判所に上告をするようですので、この判断は最終的なものではないことに注意が必要です)。