愛媛県今治市を商圏とするトミナガ不動産商事(愛媛県今治市)の社長に、母家(もや)一道氏が2022年11月に就任した。従業員がやりがいを感じられる会社を目指し、社員のスキルアップやコミュニケーション能力向上に取り組む。
社員のスキルアップに注力
PM部署立ち上げ 業績伸長に貢献
母家社長が目指すのは、従業員が長く働ける会社づくりだ。
23年度の同社の売り上げ(非公開)のうち40%が賃貸仲介、33%が賃貸管理を占める。社長交代が新型コロナウイルス下だったこともあり、オーナーへの対面でのあいさつは23年の年末に行った。今治市に特化し、事業を展開する方針を掲げる。
母家社長は専門学校を卒業後、22歳の時に東京都でゴルフ場やキャンプ場を運営する会社に就職。06年にトミナガ不動産商事に転職し、管理や仲介事業に従事。業績を伸ばしていった結果、今回の社長就任に至った。
「私が入社した6年には社員が今の2分の1の5、6人しかいなかったので、あらゆる業務に携わった。当時は不動産の知識がなかったので賃貸住宅の情報誌を配ることから始めた」と母家社長は振り返る。
入社した当時の管理戸数は150戸程度で、管理部署もなかった。09年ごろに母家社長が主導で賃貸管理部を立ち上げた。その際の管理戸数は300〜400戸程度だった。
物件仕入れに注力 口コミで受託拡大
母家社長が賃貸管理部門を立ち上げ、力を入れたのは賃貸仲介・管理事業を共に伸ばしていくことだ。立ち上げた当時、他社管理物件を仲介することがほとんどだった。そのため、直接物件の仕入れを行えるように自主管理オーナーとの接点獲得に注力。商圏で空室が目立つ物件を徹底的に調べて営業をかけ、仲介する物件を充実させた。
リーシングの成果を上げることで、自主管理オーナーから管理を受託。その成果から今治店店長への就任に至った。
管理拡大のきっかけは同社のリーシング力の強さに満足したオーナーからの紹介だ。その背景には同社が加盟する賃貸仲介フランチャイズチェーン(FC)「アパマンショップ」の知名度向上があるとみる。
創業社長の白石富祥(とみなが)氏が四国地方で初めてアパマンショップのFCに加盟。同FCの知名度が上がるにつれ、地場不動産会社としての信頼度も向上。14年ごろから契約件数が伸び、オーナーからの紹介も増えた。その結果、管理戸数が1000戸を超えた。同年11月には管理専業の子会社であるトミナガ管理システム(同)を設立。母家社長は、設立のタイミングで同社の社長に就任し、現在、トミナガ不動産商事と併せ2社の社長を務める。管理戸数は23年6月には1250戸にまで伸びた。
社員が講師を担当 リノベ案件獲得
社長就任後、力を入れるのが、社員の能力向上だ。23年から、資格の取得推進や、外部講師を招いた従業員向けセミナーを実施している。
母家社長は「目指すのは楽しく仕事ができ、自分で考えて業務を遂行できる社員の育成。仕事が楽しければ、業務へのやりがいも生まれるし、離職率の低下にもつながる。そのために、不動産関連のスキルとコミュニケーション能力を育みたい」と話す。
スキルでは宅地建物取引士(宅建士)をベースに賃貸不動産経営管理士(賃貸管理士)、ファイナンシャルプランナー(FP)の資格取得を推奨。資格を持つことでオーナーや入居者などの顧客に対する言葉の説得力が増すと考えている。社員13人のうち、5人が宅建士を取得。全社員での取得を目標とする。
トミナガ不動産商事の本社外観
社員が専門知識を確実に身に付けるため、オーナー向けセミナーの講師を任せている。セミナーを通じて、オーナーとの距離を縮めるだけでなく、社員自身の勉強にもなるからだ。23年は新規オーナー向けに少人数セミナーを3回行った。テーマは「繁忙期の振り返り」や「入居者のニーズ」だ。その結果、物件のリノベーションを2戸で受注したほか、管理についての問い合わせが入ってきているという。
コミュニケーション能力については外部講師による研修を受けている。
同社は、地元密着型を掲げる。社業を通じて従業員、入居者、取引先企業、オーナーの全員が幸せになることを考え、全体に利益を生む事業を志す。
「幸せの輪の循環をつくりだすことが大切だと考えている。その輪を大きくしていける会社にしたい」(母家社長)
(野中)
(2024年8月12日20面に掲載)




