松堀不動産、管理を軸に新規事業開発【人口10万人エリアの賃貸管理業】

松堀不動産

管理・仲介業|2025年08月29日

松堀不動産 埼玉県東松山市 泉 佳子 社長

 5580戸を管理する松堀不動産(埼玉県東松山市)は、埼玉県中央部に位置する人口約10万人の東松山市を商圏として年商30億円を売り上げる。賃貸管理を軸としながら、リフォーム、買い取り再販のほか、日本語学校の運営など周辺領域の事業化にも取り組む。直近では日本語学校事業が好調で、東松山市における外国人人口の増加にも貢献する。7月のグループ再編で同社の代表となった泉佳子社長に、今後の事業戦略を聞いた。

日本語学校好調、地域活性化も

150人の留学生所属 27年に2校目も

 松堀不動産の売り上げは、賃貸管理が半分を占めるが、現在最も伸びているのは日本語学校事業だ。同社は東松山市で2019年から「比企アカデミー日本語学校」を運営する。同校には、ベトナムやミャンマー、スリランカといったアジア圏からの学生150人が所属。教師は松堀不動産の社員として直接雇用し、学生の募集から授業の実施まですべてを同社が行う。日本語学校事業の25年6月期の売上高は1億400万円で、21年6月期比843%と大幅な伸びを見せる。

グラフ

 東松山市の人口は25年3月1日時点で9万1063人で、前年3月1日時点から542人増加した。けん引するのは外国人で、967人増えている。一方で日本人は509人減った。外国人の人口は、10年前となる15年3月1日時点と比較して2408人増えており、同社もこの市場の変化を捉え、成長の糧としている。

 20年に、留学生の在籍管理が適切に行われている教育機関「適正校」として法務省に認定されて以来、比企アカデミー日本語学校への入学希望者は定員を上回り続ける。27年には2校目となる「小江戸アカデミー日本語学校」を埼玉県川越市に開校する予定だ。「日本語学校事業に関しては商圏は世界中ということになり、拡大の余地は大きい。30年までには、比企アカデミー日本語学校の定員を500人とすることを目指している」(泉社長)

入居率向上に直結 地域の活気創出も

 日本語学校事業は、事業単体での売上高に加えて、松堀不動産の経営全体にもプラスの影響を与える。特に経営に直結しているのは、管理物件の入居率向上だ。来日する学生の住まいは松堀不動産であっせんしており、9割弱の学生が同社の管理物件に入居しているという。同社では年間約1100件の入退去があるため、その1割強を日本語学校の学生が占める計算だ。

 さらに同事業は、地元の活性化にも寄与している。同社では学生のアルバイト先の紹介や雇用後のサポートも行う。人手不足で苦しむコンビニエンスストアや飲食店も多く、学生を紹介することで喜びの声をもらうという。「学生がトラブルを起こしてしまった際も当社が適宜サポートするため、近隣住民やアルバイト先の事業者も安心して学生を受け入れてくれる。若い学生が暮らすことで、街全体の活気が増していると感じる」(泉社長)

7月、グループ再編 創業家から新社長

 松堀不動産を含む松堀グループは7月、グループ再編を実施。グループのまとめ役となる松堀トラスト(東京都港区)が持ち株会社となり、賃貸管理を行う松堀不動産、不動産売買を行う松堀不動産販売(埼玉県東松山市)、買い取り再販のフランチャイズチェーン(FC)本部であるアルイエ(東京都中央区)を傘下に置く形となった。グループ4社は、決算月を6月に統一すると同時に、松堀不動産の中にあった売買部門の一部を松堀不動産販売に集約するなど、グループ各社の役割を明確化した。

 再編と併せて、泉氏が松堀不動産の代表に就任した。泉社長は松堀不動産の創業者である堀越重男氏の長女であり、前社長で松堀トラスト代表の堀越宏一氏の妹だ。東松山市で生まれ育ち、武蔵野美術大学でデザインを学んだ。大学卒業後、建築設計事務所で広報を務め、08年には母親が東京都港区の六本木で設立した不動産会社をサポートするようになる。16年に松堀不動産に入社し、自社ブランドのアパート「アルメゾン」事業の広報を担当。その後は売買や賃貸仲介・管理を含む全事業の広報と、日本語学校事業などの新規事業の立ち上げに携わった。日本語学校では教員不足のため、自ら日本語教師の資格を取って教壇にも立った。

管理基盤は継続 地元と共に発展

 泉社長は、今後の方針としてオーナーや入居者との関係継続と強化を掲げる。同社では入居者満足度向上のための施策を多く実施している。11年から提供しているのが、入居時に24時間駆け付けサービスの会員になってもらうことで、敷金・礼金・仲介手数料といった初期費用や退去時の原状回復費用を無料とする「楽ゾウプラン」だ。

 24年からは入居者が支払った家賃の10%分がたまっていくポイント制度も開始した。ポイントは同社で住宅を購入する際に充当することができる。引き続きこうした取り組みにより管理物件の入居率を上げ、オーナーの満足度を高めていく方針だ。

 管理事業を基盤とする一方で、日本語学校をはじめとするその他の事業を通じた地元の発展の支援にも注力する。

 「私たちは地元のオーナーや入居者からの信頼をいただくことで、安定した経営を行っている。地域のニーズや課題に向き合い、地元と共に発展・成長していく企業でありたいと考えている」(泉社長)

(2025年8月25日20面に掲載)

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