マンションやビルをはじめとした建築物の耐震補強や大規模修繕工事などを手がけるリノ・ハピア(東京都大田区)。公共・民間の双方で培った工事の実績と独自の工法で建物と人々の暮らしの安全を守り、海外展開や人材育成にも積極的に取り組んでいる。渡辺清彦社長に、同社の強みと将来の展望を聞いた。
日本を軸に展開 商機求め海外へ
―御社の事業内容について教えてください。
マンションなどの改修工事が主な事業で、売り上げのほぼ100%を占めています。2024年度は年間50件の工事を受注し、売上高は98億9000万円、経常利益は約3億5000万円となりました。
―改修工事の売り上げ構成比を教えてください。
独立行政法人都市再生機構(以下、UR都市機構:神奈川県横浜市)が運営する賃貸住宅関連が6〜7割と最も多く、分譲マンションが約2割、そのほかオーナーマンションやオフィスビルなどです。2代目である父の時代に、日本住宅公団(現UR都市機構)との取引が始まりました。
―商圏はどの地域ですか。
1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)を中心に展開しています。さらにフィリピンのマニラ中心部の地域ボニファシオグローバル シティー(BGC)に完全子会社を構え、CAD(コンピューターによる設計)図面作成や積算、3D設計支援を担っています。これにより大規模修繕工事の診断の精度が高まり、提案力の強化につながっています。
タイル剥落防止 独自工法に強み
―御社ならではの技術的な強みは何ですか。
マンションタイルの剥落防止工法「GNSピンネット工法」と「GNSアンカー工法」です。ピンネット工法はUR都市機構の標準仕様に採用され、安全第一の観点から高い評価を受けています。一方、GNSアンカー工法はタイル意匠を損なわず、施工後に白濁が発生してしまうなど透明樹脂の課題を克服した方式で、10年保証と審査証明を取得済みです。
―GNSアンカー工法の技術的な特徴は。
目地が健全であれば、ピンを一定のピッチでマンション壁面タイルに打ち込みます。これにより震動によるタイルの剥落を防止します。東日本大震災で発生した地震の波形を用いた震動実験で効果が実証されています。さらにISO(国際標準化機構)認証を取得しているほか、研究機関での試験による裏付けを持つことで、公共・民間双方からの信頼を得ています。




