家賃債務保証の認定制度、開始

法律・制度改正|2025年11月22日

 10月から「認定家賃債務保証業者制度」が始まった。同制度は、住宅確保要配慮者(以下、要配慮者)が使いやすい家賃債務保証(以下、保証)を提供する事業者を国土交通大臣が認定するものだ。10月30日時点で認定された一般財団法人高齢者住宅財団(東京都千代田区)では、2024年の審査通過率が99.6%だった。要配慮者の保証に取り組む民間事業者も認定に向け申請を行っている。

aicon_key.jpg 居住サポート住宅

 要配慮者に対する入居中サポートが付帯した賃貸住宅。福祉事務所を設置する自治体の長が認定する。提供される入居中サポートは、ICT(情報通信技術)などを利用した安否確認、訪問などによる見守り、福祉サービスへのつなぎの三つ。入居中サポートの提供者としては、居住支援法人、社会福祉法人、NPO法人、管理会社などが想定されている。

要配慮者の受け入れ拡大狙う

原則「断らない」 法人連絡先も許容

 認定家賃債務保証業者制度は、保証人のいない要配慮者に保証を提供することを通して、要配慮者の民間賃貸住宅への入居を進めることを狙う。25年10月30日時点で公表されている認定事業者は1法人。そのほかにもいくつかの法人が申請し、各地域の管轄の地方整備局が審査を行っている状況だという。

 国土交通省住宅局安心居住推進課の岡田修治課長補佐は「目標認定数は定めないが、全国で認定事業者を選択できる状態を目指す」と話す。

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 認定のための要件は主に四つ。一つ目は、10月に登録開始となった居住支援付きの賃貸住宅「居住サポート住宅」に入居する要配慮者の保証を正当な理由なく断らないこと。二つ目は、すべての要配慮者の保証契約時に保証人の設定を条件にせず、緊急連絡先は個人に限定しないこと。三つ目は、保証料が不当に高いものでないこと。四つ目が、要配慮者との契約実績や標準的な契約内容をホームページなどで公表することだ。

認定家賃債務保証業者制度の認定基準

 認定事業者が要配慮者の保証を行う場合は独立行政法人住宅金融支援機構(以下、JHF:東京都文京区)の家賃債務保証保険に加入することができ、要配慮者への保証のリスクが低減される。居住サポート住宅に入居する要配慮者の保証では、填補(てんぽ)割合が最大9割となる。

高齢者専用で展開 生活保護受給者も

 認定家賃債務保証事業者の第1号となったのは、高齢者や障がい者ら専用の保証を提供する高齢者住宅財団だ。10月1日付で同制度の認定を受けた。24年の審査通過率の実績は99.6%に上る。

 同社の保証は60歳以上の高齢者、障がい者、子育て世帯などを対象としている。保有契約のほぼすべてが要配慮者との契約で、生活保護受給者が全体の4割を占める。

 連帯保証人は不要とし、緊急連絡先は法人も認める。現状も保有契約のうち2〜3割は、緊急連絡先が居住支援法人や行政機関になっているという。保証料は初回・更新共に月額家賃の35%。収納代行は行わず、保証は退去時に実行する。

 総務部債務保証課の金浜貴行課長代理は「もともと認定条件をほとんど満たしている状態だったので、申請しない理由はなかった」と話す。

専門部署を新設 提携サービス多数

 エルズサポート(東京都中野区)は11月6日に認定通知を受け取った。同社は高齢者向け緊急通報サービスを提供するホームネット(同)のグループ会社として、積極的に高齢者の保証を手がけてきた。同制度の開始を機に新商品の開発を行い、高齢者をはじめとした要配慮者向けの保証にさらに力を入れていく予定だ。

 25年10月1日に新設した部署「居住支援推進室」で、契約者の属性別に複数の商品をつくる。想定している商品は、生活支援が必要な要配慮者向け、健康なアクティブシニア向けなどだ。

 エルズサポートは見守りや駆け付け、残置物処理などさまざまなサービスの提供事業者と提携している。それらのサービスを必要に応じて組み合わせて、25年中には要配慮者向け商品の内容を決める考えだ。保証料は初回が家賃1カ月分以内、保証人は必須とせず、緊急連絡先は個人に限らないこととする予定。

居住支援向け商品 保証料を活動費に

 ナップ賃貸保証(東京都中央区)は、同制度の認定を申請中だ。同社は14年ごろから居住支援法人と連携して要配慮者の保証に取り組む。

 同社は居住支援を提供するあんど(千葉県船橋市)と共同で開発した保証商品を持つ。部屋探しをする要配慮者の情報を居住支援法人が聞き取り、専用の提出用紙に記入する。それをナップ賃貸保証とあんどがチェック。連携する居住支援法人は120に上る。

 同商品の保証料は、居住支援法人の支援サービスと合わせて初回契約時に家賃の100%、1年ごとの更新時に2万円だ。保証料の半分は、ナップ賃貸保証から要配慮者の支援を行う居住支援法人に支払っている。田邊裕典専務は「要配慮者の生活をサポートするために大変な仕事をしている居住支援法人が、十分な収入を得られていないという現状がある。支援活動を続けてもらうための糧になればと思い設定した」と話す。

 認定制度については、不安もあるという。「JHFによる保険は給付条件がまだ明示されておらず、入居者の死亡時の原状回復費用がきちんと出るのかが不透明だ」(田邊専務)

(中村)
(2025年11月24日1面に掲載)

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