相続人全員が相続放棄したときの相殺

【連載】弁護士が解決!!身近な不動産トラブル 第142回

法律・制度改正|2026年10月16日

 当社は、建物所有者と建物の一括賃貸借契約を締結し、サブリース事業を営んでいます。先日、建物所有者が死亡したのですが、建物の所有権の帰属が確定する以前に、死亡した建物所有者が建物に設置した防犯カメラのリース料の滞納があったため当社が代わりに支払っていました。今回の件は相続人全員が放棄する可能性が高いのですが、当社が立て替えたリース料は賃料と相殺してもよいでしょうか。

家主死亡時の立て替え費用 公告期間内に債権届け出を

 本件では、建物所有者が死亡した後、所有者の相続人が全員相続放棄する可能性が高いところ、相続人がいないことを前提にすると、所有者が有していた債権債務は相続財産法人となり(民法951条)、相続財産清算人が代表して相続財産を管理することになる(民法952条1項)と考えられます。

 なお、相続放棄には遡及効がある(民法939条)ことから、相続人の相続放棄の時期にかかわらず所有者の債権債務は法人に帰属することになります。

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