前回は、「不動産M&A(合併・買収)」の基本的な仕組みと、売主の売却益を最大化できる可能性について解説した。今回は、実際に不動産M&Aを活用して、不動産の現金化を進めている事例について紹介する。
買主には損金算入のメリット
◇...事例①...◇
■不動産会社による複数不動産の一括売却 売却手続きの効率化
Z県にあるA社では、父親と長男とで営んできた不動産会社を、父親の引退を機に、長男がすべて引き継ぐことになりました。しかし、株の半分を次男が保有していました。長男は個人でも不動産経営を行っており、後々の相続問題を考えたうえで、法人で経営してきた不動産を現金化して兄弟で分けることにしました。当初は保有物件を1棟ずつ売却していましたが、不動産M&Aという選択肢を知り、現在は、Z県内に点在する13棟、計14億円分の不動産を一括売却(株式譲渡によるM&A)に切り替えています。