家主の会代表に聞く 賃貸経営の関心ごと~前編~

一般社団法人日本不動産経営協会,東海大家の会,がんばる家主の会,九州大家の会

賃貸経営|2022年07月11日

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 賃貸管理・仲介会社にとって、オーナーの動向や本音は気になるところだろう。今回は、各地方の家主の会主催者に取材。勉強会などに参加するオーナーが関心を持っている最近の業界話題や管理・仲介会社への要望を聞いた。

求めるのは管理会社の提案力

相続の体験談にニーズ有

【家主の関心ごと】

 一般社団法人日本不動産経営協会(JRMA:ジャルマ:東京都港区)の佐藤哲夫代表理事は「当会は年齢層が高いので、相続や事業継承が話題になることが多い」と話す。

 勉強会では、すでに相続を経験した会員に相続の体験談を発表してもらうこともある。特に失敗談が人気で、失敗をどうリカバリーしたかが会員の気になるポイントだ。

【管理・仲介会社へ一言】

 「一番の関心事は入居付け。そのためには物件の状況について詳細な情報を共有してほしい」と佐藤代表理事は話す。特に収益の分岐点となるリフォームに関しては敏感だ。提案されたリフォームの要・不要の判断や素材の指定をするためにもより密なコミュニケーションを希望してる。

一般社団法人日本不動産経営協会
・会員数:101人
・設立:1981年
・会社拠点エリア:一都三県
・会員の属性:地主系が約6割、投資家系が約4割、50~60代がメイン
・主な活動:定例会を月に1回開催。グループ活動として、15人程度1グループで月に1~2回勉強会や懇親会を行う。

佐藤哲夫代表理事写真

一般社団法人日本不動産経営協会
東京都港区
佐藤哲夫代表理事(66)

 

 

今後のインフレに不安

【家主の関心ごと】

 東海大家の会(愛知県名古屋市)の加藤至貴代表は「会員は若い世代が多く、資産形成に積極的。特に戸建て賃貸を所有する投資家が多いため、『融資が下りない』『物件がない』といった話題が多い」と話す。東海エリアでは、築古戸建て物件の人気が高く、すぐに売り切れてしまう状況だ。また、円安による建材などの高騰で、リフォーム代が高くなっているのも悩みの一つ。今後は金利が上がり、インフレも抑えられないのではという議論が盛んだ。

【管理・仲介会社へ一言】

 加藤代表は管理会社の提案に対して、不満を持つ。「お金が出て行く内容が8割。物件に自販機を置くとか、掲示板に広告事業者を入れるなど、お金の入る提案がほしい」(加藤代表)

東海大家の会
・会員数:無料会員約350人、有料会員約80人
・設立:2016年
・会社拠点エリア:愛知県、岐阜県、三重県
・会員の属性:兼業大家が8割、地主系が2割。30代がメイ ン
・主な活動:月2回定例会を開催。座学のほか、物件の買い付けや銀行との交渉のロールプレイング、DIY体験など行う。

加藤至貴代表写真

東海大家の会
愛知県名古屋市
加藤至貴代表(39)

 

 

入居者目線の提案求む

【家主の関心ごと】

 会員数600人を擁する、がんばる家主の会(大阪府堺市)で常に話題になっているのが、築古物件の排水管と耐震工事についてだ。

 松浦昭会長は「古くなった物件は大規模修繕すればいいだけだが、排水管は埋没されていて見えない。気が付いたら水漏れが起きて、入居者に迷惑がかかるほか、物件が劣化する恐れがある」と話す。

 耐震工事と共に、会員たちが自身の物件でどのような施工方法で対策を取ったかの情報交換が盛んだ。

【管理・仲介会社へ一言】

 松浦会長は管理会社に提案力と迅速な対応を求める。一時の入居獲得のための家賃下げやリフォームの提案には批判的だ。

 一方で、「このエリアは治安が悪いから防犯カメラの設置を勧める」といったような、入居者のためになる提案なら、費用がかかっても良いと考えている。

がんばる家主の会
・会員数:600人弱
・設立:2005年
・会社拠点エリア:関西
・会員の属性:地主系が約5割。兼業大家が約5割
・主な活動:家主の交流がメインの定例会を月1回開催。 会員が所有する物件の見学会を行うほか、各県ごとや、物件の特徴が類似する会員ごとの交流会も行う。

松浦昭会長写真

がんばる家主の会
大阪府堺市
松浦昭会長(75)

 

 

若手は早期リタイア希望

【家主の関心ごと】

 九州大家の会の小場三代会長によると、オーナーの年代によって、興味の傾向が分かれるようになっているという。

 20〜30代の興味の中心は早期リタイアだ。筋道を立て、最速で実現する方法を話し合っているという。6月25日に開催された同会のセミナーでは、早期リタイアについての著作を持つ西野浩樹氏を招き、講演を行った。

 60代以上では、相続対策が主な関心事だ。節税方法が関心の主体だったが、結果として相続人間のトラブルが増加。現在は相続争いにならないことを最優先にする相続対策が話題だという。

 【管理・仲介会社へ一言】

 管理会社とのコミュニケーション不足への対策を求める意見が多いという。トラブル発生時や、退去後にすぐ連絡が欲しいといった声や、担当者の変更時、オーナーについての申し送りをしっかりと行ってほしい、といった声が上がった。

九州大家の会
・会員数:約570人
・設立:2007年
・会社拠点エリア:福岡県内メイン
・会員の属性:地主系が約1割、投資家系が約9割 40~50歳がメイン
・主な活動:年に3、4回、セミナーと懇親会を行う。「フェイスブック」での会員同士の情報交換の場を提供している。メールで情報発信をする。

小場三代会長写真

九州大家の会
福岡市
小場三代会長(61)

 

 

(2022年7月11日4面に掲載)

関連記事▶【家主の会代表に聞く 賃貸経営の関心ごと[前編][後編]】

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