大阪簡裁で家主に礼金返還判決

法律・制度|2011年04月18日

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「礼金は消費者契約法10条に違反し無効」として、元入居者が家主に支払い済みの礼金12万円の返還を求めていた訴訟で、3月18日、大阪簡易裁判所が貸主に対して9万円の返還を命じていたことがわかった。貸主側が控訴しなかったため、すでに判決は確定している。

原告の借主は2009年12月に生野区内の月額賃料3万円、礼金12万円の賃貸住宅に1年契約で入居。翌年1月に退去した。

篠田隆夫裁判官は、礼金は「消費者の利益を一方的に害するものではない」と有効性を認める一方で、前払い賃料としての性質があるとして「予定した期間が経過する前に退去した場合は、建物の未使用期間に対する前払賃料を返還すべき」として、入居期間中の約2カ月分(1万円×2カ月=2万円)と「賃借権設定の対価」および「契約締結の謝礼」を考慮して1万円分、合計3万円を差し引いた9万円を返還すべきとした。

借主側代理人の浦井裕樹司法書士(備後町士総合事務所:大阪府大阪市)は、「判決は礼金そのものについては有効とした点は不満が残るが、一部返還が認められたということは一つの事例として残せる」と話した。

一方、賃貸借契約に詳しい弁護士は「あくまで事例判決」という冷静な見方をする傾向が強い。
「礼金が賃料の4カ月分と高額、契約期間が1年間で実際の入居期間が2カ月と短い、など特殊な事情の判決と見てよいだろう。礼金の法的性質に対する見解についてもあいまいさが残る」(青木龍一弁護士)

以前、礼金返還訴訟で代理人を担当したことがある田中伸弁護士も、「平成20年9月30日に京都地裁で礼金の有効性を認める判決が出ている。今回の大阪簡裁判決は事例判決として考えればよいのでは」とし、影響は限定的との見方をしている。

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