ポータルサイトとSNS集客は何が違う?
その他|2023年03月04日
「ショート動画」は部屋探しにも影響する?
SNS集客に力を入れている不動産会社が増えています。
ポータルサイト出稿費用の高騰や、ECでの販売チャネルが主流となる中で、新たな集客手法を仲介各社が模索している状況です。その中でも、SNS集客はコストをかけずに始められるため、注目されています。従来のポータルサイトと、SNSでの集客では、何が違うのか。部屋探しを行う消費者視点から解説します。
◆目次◆
ポータルサイトとSNSの違い
・能動的か受動的か
・物件情報かアカウント情報か
①能動的か受動的か
ポータルサイトとSNSの大きな違いは、消費者側の情報の取り方が「能動的」か「受動的」か、に分かれる点です。ポータルサイトは能動的、SNSは受動的となります。
ポータルサイトでは、部屋探しユーザーがポータルサイト内で希望物件などを検索します。これは「引っ越しを検討している」タイミングで取る行動となるため、反響から来店につなげることが出来れば、短期間で成約まで至る可能性が高い特徴があります。
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一方で、SNSでは、日常の娯楽としてSNSを利用する中で、ザッピング的に物件情報と接点を持つことが一般的です。このタイミングでは消費者を、部屋探しユーザー。とは言えないのですが、「いつか引っ越しをする時」に過去に見たことのあるアカウントへ問い合わせる確率が高くなります。短期的に成果を出すことは難しいものの、長期的な視点で見ると、ポータルサイトよりも先に選ばれるメリットがあります。
引っ越しを検討しているタイミングで消費者と接点を持てるのがポータルサイト。より手前でタッチポイントを持てるのがSNSと考えてよいでしょう。
多くの仲介会社にとって落とし穴となるのが、この「長期的な視点」です。仲介事業では、広告出稿による反響から来店までの割合を算出した"反響来店率"という指標があります。この数値が高いほど、効果的に広告を活用できている証拠となります。
ただ、一般的な仲介会社はこの反響来店率を1~3カ月単位で算出しているケースが多いです。これは、月間の成約件数や店舗ごとの締め日と紐づいているためですが、1カ月単位での区切りは、前述の「短期的な視点」に位置します。ポータルサイトは、既に引っ越し意思のあるユーザーをつかむことが出来るため、この指標でほぼ正確な効果測定ができますが、SNSの場合はその限りではありません。
長期的な視点が必要となるSNS集客では、1~2年単位で反響成約を測る必要があります。この仕組みを理解できていない仲介会社が、SNSを始めた当初に反響が少ないと「効果が無かった」と諦めてしまいます。ここが、ポータルサイトとSNS集客の両立が難しい理由となります。
②物件情報か、アカウントの情報か
2つ目の違いは、提供するメイン情報が「物件」か「アカウント」か、です。ポータルサイトは物件情報。SNSはアカウント情報。に分かれます。
ポータルサイトは、物件情報を詳細まで伝えています。外観や内観、共用部などの写真複数枚、築年数・戸数などが記載されており、物件に関するあらゆる情報をつかむことができます。
一方で、SNSでは「部屋紹介」や「Room Tour」と題して、物件を紹介するショート動画が一般的です。こちらは、仲介担当者がMCとなって物件内を回遊したり、動画内に音声を入れられたりと、アカウント(仲介事業者)の個性が全面に出るのが特徴的です。
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いずれも、物件情報としては一長一短あります。ただ、賃貸住宅は一般的に、どの事業者が仲介しても同じ部屋に入居できます。であれば、消費者に「この人から部屋を借りたい」「この仲介会社なら信頼できる」といった状況を作り出せるかは、成約件数を左右する大きな要因と言えるでしょう。