領収証の発行義務 

【連載】弁護士が解決!!身近な不動産トラブル 第56回

管理・仲介業|2019年08月12日

 私は、貸しアパートを経営しており、賃借人には私の銀行口座に直接家賃を振り込んでもらっています。今までは、銀行口座への振り込みに対して、都度領収証を発行してはいなかったのですが、最近、賃借人のAさんが、「今まで支払った賃料分の領収証を全て発行してほしい。また、今後は毎月領収証を発行してほしい。発行してくれないなら今後賃料は支払わない」と主張して、賃料の支払いを拒むようになりました。こんな言い分がまかり通るのでしょうか?

振込記録は受取証書に当たらず交付請求の際は特約の有無確認

 昨今、賃料の支払いは銀行振込や口座振替で行われることが通常であり、賃借人の側に振込記録等が残ることから、賃貸人が領収証を発行する必要があるか否かという点について意識されている方は少ないかもしれません。

 この点、民法上は、「弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる」と規定されています(民法486条)。ここでいう受取証書とは、債務者が債務を弁済した事実を証明するために、債権者が債務者に交付する証書のことを指し、領収証はその典型です(以下の領収証に関する記載は、受取証書一般にも当てはまる記載となります)。したがって、賃借人が賃料を支払った後で領収証の発行を請求した場合には、賃貸人は、これに応じなければなりません。

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