「管理データ」で示す賃貸市場

【連載】「管理」データからひも解く賃貸市場 第1回

賃貸経営|2025年07月18日

募集データ 賃料実績と乖離

 賃貸住宅の投資分析・判断を行う際に、一般に広く用いられているのは、住宅情報提供会社が公開する「募集データ」です。しかし「募集データ」を用いた分析は、対象となる物件の実態と分析結果が大きく乖離(かいり)する場合があるので注意が必要です。

 「募集データ」で示されている賃料(以下、募集賃料)は、テナント予定者に家主が提示する希望の賃料です。ところが賃貸市場の現場においては、募集賃料通りでは入居が決まらない場合に、賃料の値下げが行われます。

 また、物価上昇局面においては、入居期間の長いテナントの賃料は、新たに契約を結んだテナントの賃料よりも安い可能性があります。本来、正確な分析のために知りたいデータとは、実際にテナントが支払っている賃料(以下、支払い賃料)の実態です。これが後述する「管理データ」です。

 賃貸住宅の空室率(稼働率)の実態を把握するうえでも同じような問題が生じがちです。一般的に知られている空室データには、総務省の「住宅・土地統計調査」があります。「住宅・土地統計調査」は全国をカバーしていますが、調査が5年ごとであるためタイムリーな空室率を確認することができません。

 また、経営難などの原因で市場からほぼ撤退している物件まで含んでいることから、空室率が高くなり過ぎるという問題があります。

 反対に、J-REIT(リート)や大手アパートメーカーが公表している空室データは、実態より空室率が低く表示される傾向があります。J-REITや大手アパートメーカーの管理物件は、高い品質の物件が多く含まれているうえに、組織的な高いリーシング体制を有しているからです。また、J-REITや大手アパートメーカーが公表しているデータは一部の地域に限られています。

 従って、賃貸住宅の投資分析や判断を行う際に、「住宅・土地統計調査」のデータを用いると、物件の空室リスクを高く見積もり過ぎる可能性があり、またJ-REITや大手アパートメーカーのデータを用いると物件の空室リスクを低く見積もり過ぎる可能性があります。

動向分析に新指標 不足情報をカバー

有料会員登録で記事全文がお読みいただけます

おすすめ記事▶『テックがもたらす企業の変貌【不動産テック 進化と変革】』

検索

アクセスランキング

  1. 新日本信用保証、ブランド問わずクレカで決済

    新日本信用保証,センチュリー21・ジャパン

  2. 成約賃料上昇、東京中心に加速【繁忙期速報2026】

    クラッシー・ホームズ,山一地所,アーバンホーム,ワンダーライフ,日建産業,グローバルセンター,デパートひろた,

  3. 仲介件数「横ばい」で折り返し【2026繁忙期速報】

    S‐FIT(エスフィット),ユーミーらいふグループ

  4. イタンジ、契約書管理サービスと連携

    イタンジ

  5. 都市再生機構、団地に見守り相談員配置

    独立行政法人都市再生機構

電子版のコンテンツ

全国賃貸住宅新聞からのお知らせ

お知らせ一覧

サービス

発行物&メディア

  • 賃貸不動産業界の専門紙&ニュースポータル

  • 不動産所有者の経営に役立つ月刊専門誌

  • 家主と賃貸不動産業界のためのセミナー&展示会

  • 賃貸経営に役立つ商材紹介とライブインタビュー

  • 賃貸管理会社が家主に配る、コミュニケーション月刊紙

  • 賃貸不動産市場を数字で読み解く、データ&解説集

  • RSS
  • twitter

ページトッップ