区分マンションのサブリース会社、BLAZE(ブレイズ、以下B社:東京都渋谷区)の借り上げ賃料未納問題が浮上している。B社から再転貸するサブリース会社も対応に追われる。実態を調べていくと、実際の賃料よりも高い借り上げ賃料をオーナーに支払う「逆ザヤ」の状態になっていたようだ。「かぼちゃの馬車」事件と酷似したスキームだとの声も上がる。
区分管理BLAZE、連絡不通
「所有物件の賃料が入金されない」
複数のオーナーがSNS上に投稿し始めたのは、2022年12月ごろのことだ。今回問題となっているのは、主に東京都内で投資用区分ワンルームマンションの販売を行っているReVie(レヴィー、以下R社:同)と、21年9月までR社のグループ会社だったB社だ。
Aオーナーは21年4月、東京都の中古区分マンション2戸を合計4620万円でR社から購入し、B社とマスターリース契約を締結。22年10月に一度目の未納が発生した際はB社に連絡し、11月に2カ月分が振り込まれた。だが12月は1戸分の入金となり、23年1月には入金が途絶えた。B社とは22年10月中旬以降連絡が取れていないという。
R社が物件を販売する際に、B社のマスターリース契約をセットで提案。その際、入居者が支払う賃料よりも高いか、もしくはほぼ同額の賃料で借り上げていた。Aオーナーの場合、2550万円で購入しサブリース賃料8万9100円で契約した物件の募集賃料は7万6000円。明らかに逆ザヤとなっていたことがわかる。サブリースによる赤字分を、売買利益で賄う状態であったことがうかがえる。
別のオーナーは22年12月の賃料から未払いが続く。同12月下旬になってB社の公式LINEから入金遅延の連絡は来たものの、問い合わせへの返答はない。「21年9月と22年6月に購入した際、R社の担当者がサブリースの説明も行い、B社がグループを外れるという説明もなかった。R社が無関係だとは思えない」とR社に対しても、憤りの声を上げる。
再転貸会社に影響
B社からさらに再転貸するケースもあり、別のサブリース会社にも影響が及んでいる。
B社の転貸物件を約30戸借り上げていたあるサブリース会社は、22年12月にオーナーから連絡があり、賃料未納を知った。すぐにB社への送金を止め、各オーナーへ直接の借り上げ契約を提案中だ。
B社オフィスの入り口に「被害者の会立ち上げ予定」との貼り紙をしたのは、区分マンションの販売、サブリースを行うエレマックス(同)だ。
「B社に任せる所有物件で賃料の入金がない」と複数の顧客から相談を受けたことがきっかけだ。賃料が未納になっている物件数は20戸ほど。同社では、入居者へ入金先変更の書面送付などを行っているという。
全国賃貸住宅新聞の取材から、少なくとも約50戸の物件で借り上げ賃料の未納があったことが明らかになった。ただ、B社の賃料未納問題の全体像はまだ見えない。R社の21年8月期の売上高は67億円。2000戸程度の区分マンションを販売していると説明を受けたオーナーもいる。その多くでB社のマスターリース契約が締結されていたとすれば、被害を受けたオーナーはかなりの人数に上ることが推察される。
全国賃貸住宅新聞は、R社およびB社に質問状を送ったものの、期日までに回答は得られなかった。
通知せず「相殺」違約
サブリース問題に詳しい神奈川県弁護会所属の弁護士法人山村法律事務所(神奈川県横浜市)の山村暢彦代表弁護士は、「スキームは『かぼちゃの馬車』とほぼ同じ。高いサブリース賃料を抱き合わせることで販売価格を上げている」と話す。
11日付でB社のホームページに掲載されている「オーナーに過払い金があるため、一時的に入金を止めている」という説明に関しては「債務不履行になりうる」(山村弁護士)という。実際に過払い金がある場合、将来の支払いと相殺することは可能だが、事前にその額と相手先を精査し、書面で連絡をしなければならない。事前通知なく入金を止めるのは違約行為となる可能性が高い。
目安として、既に3カ月以上の未払いが発生しているのであれば、債務不履行による信頼関係の破壊を理由にB社とのマスターリース契約の解除通知を送ることが可能だ。その場合は内容証明や特定記録郵便のような証拠を残すことが必須となるという。
(柴田・野中)
(2023年1月23日1面に掲載)