おとり広告はなぜ無くならないか
統計データ|2023年09月19日
公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会(以下、首都圏公取協:東京都千代田区)は6月、賃貸住宅を含むすべての不動産における、おとり広告物件数が21年度から減少したと発表しました。首都圏公取協が進めている一斉調査の成果が現れています。ただ、何故おとり広告は無くならないのでしょうか。おとり広告が発生する仕組みと原因について解説します。
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【目次】
・おとり広告ができる仕組み
・おとり広告はなぜ無くならないのか
おとり広告ができる仕組み
まずは、おとり広告ができる仕組みについて簡単に説明します。通常、入居が決まった時点で物件は売り物では無くなるので、当該物件の集客は全てストップする必要があります。賃貸住宅の場合は、ポータルサイトでの募集が一般的なので、サイトから物件情報を削除しなければなりません。
削除する業務を担当者が怠った場合、物件は入居が決まっているにも関わらず、募集を続行している状態となります。すると、新たな入居希望者から反響や内覧希望が入ってきます。
当然、物件は既に入居者が決まっているので、紹介することが出来ません。売り物ではないのに入居募集が行われているこの状態を、おとり広告といいます。
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おとり広告が無くならない原因の一つとして、物件広告の消し忘れ。が上げられます。賃貸物件は基本的に1つの物件に対して複数の仲介会社が扱うことが可能です。そのため、各社が物件広告を掲載します。例えば、A社が契約した(=物件広告を消す必要がある)という情報が伝達されるまで時間がかかります。そうすると、把握漏れや反映ミスなどが起こりやすく、結果的におとり広告状態となってしまいます。
その他、様々な理由が考えられますが、人気の高い物件広告を意図的に掲載しておくことで反響を獲得し、来店まで誘導しようとする悪質な仲介事業者も一定数存在します。こうした企業に対して、首都圏公取協は厳重注意やポータルサイトの掲載禁止などの措置を講じています。