管理会社における、大規模修繕事業化の現在地

統計データ|2023年10月01日

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  賃貸住宅管理業法の施行や、賃貸住宅メンテナンス主任者認定制度の開始により、賃貸管理会社は大規模修繕事業に対する意識を高めています。一方で、大規模修繕をビジネスにできている管理会社は、現時点ではわずかです。大規模修繕事業に積極的に取り組んでいる管理会社を取材しました。


※大規模修繕工事の
範囲として今回は「外壁塗装および屋根や屋上防水シートの張り替え工事」と定義をして取材を行いました。取材先企業は、仲介・賃貸管理をメインに建築やリフォームも手がける9社です。

§1 各社に聞いた 大規模修繕工事棟数と売上

★大規模修繕解説スライド①.jpg

最初に注目したポイントは、年間受注棟数と管理戸数が必ずしも比例しているわけではないという点です。同じ1万戸を管理している企業でも、年間受注棟数には開きがあり、管理戸数とはリンクしていないことがわかりました。

§2 平均工事単価と建物構造の関係性は

★大規模修繕解説スライド②.jpg さらに、受注した棟数と年間売上額も、必ずしも比例しているわけではありません。例えば、A社は年間30棟受注で年間売り上げが5000万円ですが、F社は年間5棟の受注で売上はA社と同じ5000万円です。これは、木造とRC造で平均工事単価が異なることに要因があります。

木造の場合は、2階建て8戸で平均200万〜300万円程度ですが、RC造の場合は外壁と屋上防水に加えて、エレベーターや貯水槽といった共用設備など、物件のスペックに開きがあるため1000万円を超える工事も多いといいます。F社の場合は、受注した5棟のうち1棟がRC造で、1棟だけで2500万円の売り上げがあったため、年間5棟の受注でも5000万円の売り上げを達成することができました。このように受注状況で修繕内容が変わるため、大規模修繕工事の売り上げをコントロールするのは難しいように思いました。

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§3 大規模修繕事業の主な人員体制について

★大規模修繕解説スライド③.jpg

 一方で、全9社中6社が、大規模修繕工事の売り上げ計画を予算化していました。売り上げ予算の計画化が1番早かったのはA社で2017年。ここ3〜4年で始めたB社、D社、I社は、予算化に伴い専門部署の設立や専任スタッフの配備をして、体制づくりも強化してきたといいます。一方で、C社、E社、F社は予算化まではしていないとのことでした。工事部などの部署内に大規模修繕工事の売り上げも含まれており、単独での売り上げ目標の計画化はしていないそうです。

 次に、大規模修繕工事の提案を主に誰が行うのかを聞くと、オーナー折衝を担当する部署が提案するケースが多いようでした。建設部や工事部など、施工関連の部署がある企業は、オーナー営業担当者と連携を取りながら提案することも多いとのこと。

 予算化している6社は、オーナー担当者や管理部の営業担当者が兼任する管理会社多く、キャリア10年以上のベテラン社員や、オーナーの年代に近い50代以上の営業経験者など、各社、業務を担う人材選びには配慮しているようです。オーナーを納得させる必要があるため、建物の知識や賃貸管理の経験が豊富な社員を担当させる傾向にあります。

§4 大規模修繕を提案するタイミング

★大規模修繕解説スライド④.jpg

 さらに、どのようなタイミングで提案するのかを聞くと、主に次の三つに分けられました。

 一つ目は、一般的な大規模修繕工事を行う築15年目を迎えた物件を中心に点検を行い、劣化が見られた場合に提案を行うパターン。二つ目は、定期巡回報告書を使った提案です。毎月、定期巡回の際に写真で清掃報告や建物巡回報告を行うため、その際にタイルの剥がれなどが発生していれば、巡回報告書内で建物点検の提案を行うといいます。同じ角度から写真を撮ると、オーナーも違いがわかり、提案が通りやすいという声もありました。三つ目は、小修繕や原状回復工事とセットで提案するパターンです。入居者クレームから発生する小修繕をきっかけに、大きなトラブルになる前に大規模修繕工事を行うよう促すそうです。

 以前、共用の外階段の塗装が剥がれた部分に、入居者の衣服が引っかかってけがをしたというクレームにより、階段のメンテナンスおよび外壁塗装の大規模修繕工事の受注につながったこともあるそうです。入居者からのクレームはオーナーも無視できないため、修繕を考える良いタイミングになります。

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