賃貸でも部屋を素敵に飾りたい! 失敗しないステージングのポイント4つ
賃貸経営|2023年07月07日
賃貸住宅の空室対策として、ホームステージングを行う管理会社が増えています。家具や家電、小物を飾り付ければ、一見完成してしまうので取り入れやすいのが特徴です。ただし、素人がステージングしても、お手本のように上手くいかないもの。思ったような成果を出せずに諦められた人も多いのではないでしょうか。今回は、京都で雑貨店を展開しながらステージング事業も行っているイノブン(京都市)のホームステージャー岸本州彦チーフに、誰でも出来るホームステージング術を取材しました。
【目次】
●賃貸のステージングでありがちな失敗例
●ステージングで気をつけるポイント
●空き室をよりよく見せるコツ
●生活雑貨や小物遣いで印象アップ
賃貸のステージングでありがちな失敗例
ステージングを実践してみたものの、何だか思っていたものと違う・・。せっかくコストも時間もかけたのに、入居がつかない。。やっぱりホームステージングって敷居が高いのかも。という経験をした管理・仲介の担当者も多いと思います。そこで、素人が陥りがちな失敗例を見ていきましょう。
原因その1:家具・家電・雑貨など、そろえたもののテイストがバラバラ
最もやってしまいがちな失敗例が、家具や小物のテイストに統一感がなく、部屋を見た時に入居者に違和感を与えてしまうこと。色味を例に取り上げると、机は黒なのに椅子は茶色。家電は白といった感じです。管理会社で施工するステージングの素材は、在庫の使いまわしであることが多いので、こういった状態になりやすいといいます。岸本さんは「統一感のポイントは、色・形・素材の3つ。全てが難しければ、このうち1つでもそろえることをお勧めします」と解説します。
原因その2:想定ターゲットに訴求できるステージングになっていない
どのようにして部屋を飾ろうか。と考えた時、入居者ターゲットに合わせた家具や小物を選びますよね。この際、想定している入居者と、実際に施工した部屋のニーズが合っていないことが多々あるそうです。例えば、1人暮らしの大学生をターゲットにしているのに、大きいテレビ台が配置してある。といったケース。テレビ離れが進んでいる中で、テレビ台にグッとくる大学生は多いでしょうか。それならば、動画視聴用のプロジェクターを用意したほうが、生活になじんだ提案と言えるでしょう。ターゲット層が好む生活イメージは、担当者の想像だけで生み出さず、同年代の人に一度ヒアリングしてみることをお勧めします。
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賃貸のステージングで気を付けるポイント
成果を出すために最低限気を付けておくべきポイントを解説します。陥りがちな失敗から卒業して、狙った入居者ターゲットに訴求できる部屋を作るための心得です。
ポイント1:ペルソナを決める
先ほどの失敗例でもありましたが、ステージングを施す部屋の入居者ターゲット(ペルソナ)をしっかり決めておく必要があります。ペルソナ決定のために必要な要素としては、
・物件の周辺環境を考慮する
・他の部屋に住んでいる入居者の傾向を知る
・家主の意向を聞く
といった点があげられます。近隣がオフィス街や工場が多いのに、大学生に向けたステージングを施しても、効果はあまり期待できません。「こうした入居者に入ってほしい」という願望と「市場のターゲット」を加味して正確なペルソナを設定するようにしましょう。
ポイント2:「暮らし」の視点でステージングを行う
「ターゲットが、この部屋でどんな生活を送るか」といった入居後の暮らしの観点からステージングを行うようことも大事なポイントです。見栄えが良くなるように綺麗に家具を配置したものの、人通りが窮屈になってしまった。間取りに合わせて家電を置いたけれど、この距離だとキッチンから家電に手が届かない。といったケースがよくあります。手持ちの家具をとりあえず並べるのではなく、生活イメージから逆算したステージングを行うことが重要です。
空き室をよりよく見せるためのステージングのコツ
次に、賃貸住宅の空室をより魅力的に演出するために知っておきたいコツを紹介していきます。賃貸住宅は基本的に建物ごとに似たような間取りであることが多く、分譲や戸建て住宅に比べて質素な造りになっています。その中でも、ステージングすることで他の部屋と差別化するためには、どのようにすればいいでしょうか。
よく見せるコツ1:部屋の持つ良いポイントを見つける
確かに、賃貸住宅は似たような部屋は多いですが、新築でなければ全く同じ部屋はありません。その部屋が持っているポイントを一つだけでも見つけてみましょう。例えば、壁面が1面でもカラーが入っている。2口コンロがついている。など、普段は見逃してしまいがちな些細な点に着目してみてください。本当に見つからない。という場合は、バルコニーに出て外を見渡してみてはいかが?山が見えますか?海が見えませんか?そうしたロケーションも物件の立派な強みだと言えます。
よく見せるコツ2:部屋の良いポイントに目が行くように配置する
ポイントを見つけ出せたら、そこを引き立たせるようなステージングを意識していきましょう。壁紙が暖色であれば、同系統の色を使って装飾を心がける、キッチン周りに簡単な食器を並べてみる。といった具合です。ポイントを起点に工夫することで、些細だった部屋の強みが、いつの間にか他物件との差別化に繋がっていきます。
中級者向け!生活雑貨や小物使いで賃貸住宅の印象アップ
最後に中級者向けとして、小物の使い方や写真の見せ方について紹介します。部屋の魅力を高めるだけではなく、使っている家具や家電、小物の価値までも引き上げるようなステージングの工夫です。
工夫その1:写真映えするように、高低差を付けてステージングする
飾りつけをする際には、高低差を意識してみましょう。どうしても家具や小物を置くと目線が下がってしまいがち。これでは、全体的にのっぺりした印象を与えてしまいます。そこで、カーテンレールにグリーンや壁に写真などを飾り付けることで、立体感を出して部屋を引き締めましょう。写真で撮影する時も、画面全体にステージングの工夫が凝らされている方が、目に留まりやすくなりますね。
工夫その2:入室した時に最初に目に留まるポイントを意識する
入居者が内見に来た時の第一印象にこだわってみましょう。せっかく素敵なステージングを施したのに、リビングに入らないと良さが伝えられない。では、もったいないですよね。玄関先、ウェルカムボードでのお出迎えや、ちょっと上質なスリッパが揃えられていると、気分も上がります。こうした気遣いも、部屋をよりよく見せるためのステージングの1つと言えます。
いかがでしたでしょうか。ホームステージングで成果を出すには、最低限の心得が必要だとお判りいただけたかと思います。ただ、意識するポイントさえつかめれば、特別なスキルを身に着けなくても大丈夫。素敵な飾りつけと暮らしの提案で、入居者から長く愛される部屋を目指しましょう。