6.SS弁護団 不正シェアハウス問題、全面解決 代物弁済交渉、勝因は「白兵戦」

その他|2021年08月17日

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SS弁護団の河合弘之団長

 問題解決が難航する中、一方で被害者団体が勝った例もある。SS弁護団の事例だ。

 スルガ銀行・スマートデイズ被害弁護団(SS弁護団)は3月25日、スルガ銀と争っていたシェアハウス不正融資問題を大筋で全面解決したと発表した。物件オーナー257人分のシェアハウス343棟の借金が、事実上の代物弁済で帳消しとなった。河合弘之団長は、スルガ銀に対する直訴やデモなどによる"白兵戦"で臨んだことが交渉成功のポイントと伝えた。

 スルガ銀行のシェアハウス不正融資事件にかかわる物件オーナーは全体で約1200人いる。今回はそのうち257人分の保有シェアハウス343棟、不動産担保ローンの残額約440億円と無担保ローンの一部が帳消しとなった。

代物返済した案件

 この257人は、スルガ銀行・スマートデイズ被害者同盟(SS同盟)に加わっており、2年以上にわたりSS弁護団と連携し、デモや情報共有などの活動を進めてきた。

 解決には、「解決金」「代物弁済」の2段階の手続きをとった。

 スルガ銀行が持つ1棟あたり平均1億3000万円のシェアハウス債権を投資ファンドとみられる団体に譲渡する前に、例えば債権の大半を占める7000万円(※)をスルガ銀がオーナーに「解決金(損害賠償額)」として支払い、残債を軽減する。(※=便宜上、仮の金額で表現しています)

 オーナーの残債は6000万円になり、スルガ銀から物件債権を譲受した第三者にシェアハウスを引き渡し、代物弁済を完了とする流れだ。

 詳しい譲渡額や解決金額は非開示だが、343棟分は「譲渡先がすべて一括で引き取った」としている。解決金は、元本・利息・遅延損害金すべてを含んでいる。

 河合団長は、代物弁済交渉が成功に至る過程に「いくつかの分岐点があった」と語った。

 大きなポイントが、集団訴訟でなく"白兵戦"で臨んだことだという。関係各所から不正融資にかかわる有力情報を集めた上でのスルガ銀行への直接交渉、メディア・政治への訴求、株主総会で意見を伝えるなど、SS同盟と力を合わせて体当たりした。

 河合団長は「時間のかかる集団訴訟をしていたら、今頃原告団は崩壊していたかもしれない。直接対決を選択して正しかった」と振り返っている。

 2018年の問題発覚当初に「代物弁済を要求したら、スルガ銀行から反論され、周囲からは『無理だ、無責任だ』という非難を浴びたこともあった」という。しかし18年9月、スルガ銀の第三者委員会が調査報告を公開し、ずさんな融資実態が明るみに出た。

 さらに同行東京支店前での50回以上にわたるデモ、株主総会で厳しい追及を繰り返すと、次第にスルガ側の態度も軟化してきた。

 「周りから『消費者問題でデモなんて聞いたことない』と言われたが、僕らは(被害者オーナーたちに)絶対やれと伝えた。この蓄積も、大変効果的だった」 残る約900人のオーナーへの対応は「同様の解決スキームを希望すれば引き続き対応を検討する」(スルガ銀行)。ただし裁判所の調停勧告の中でスルガ側の損害賠償義務が認められることが前提条件だ。事実上、弁護団を通して行うことになる。

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