3.SKK、集団交渉を準備 誠実さに欠けたスルガ銀行の姿勢に不満募らせ
その他|2021年09月02日
SKKが集団交渉の準備を進めている一方、それに対してスルガ銀行がどのような姿勢を示すかは不透明だ。
スルガ銀行は1日、不正融資にかかわる代物弁済や元本カットなどの申し立てを8月末で締め切る旨を自社サイト上で公表した。元本一部カットは「21年8月末までに民事調停もしくは認証ADR機関への申し立て、または申し立ての合意書締結」を行った人が対象だ。
19年5月よりスルガ銀行は、不正融資にかかわった不動産融資案件で、元本一部カットや金利減免の交渉を受け付けてきた。しかし算定基準の不透明さやスルガ銀行側のスピードに欠けた対応に一部の当事者は不満を募らせている。
申し立ての期限を設けた理由について、スルガ銀行の広報担当者は「中期経営計画で重要課題として掲げていたシェアハウス関連問題は、解決に向けて一定程度進んだ。対応終了の案内を半年前に行い、十分な検討期間を顧客にとってもらうことを前提に21年8月末を対応期限とすることを決定した」と回答した。
期限までに申し立てた顧客に対しては「引き続き真剣に取り組みたい。また期限後についても、返済相談などには向き合っていく」(同)という。
背景には、懐事情がかかわっている可能性がある。代物弁済や元本一部カット・金利減免の件数が増えた分だけ、スルガ銀行の経営上の収入は悪化する。特に一棟アパートの融資状況を表す「一棟収益ローン」は、個人向けローン残高の中で半数超を占める収入源だ。
20年12月時点の一棟収益ローンの残高は1兆1158億円。シェアハウスローンの残高1524億円、ワンルームは1737億円と比べて突出している。住宅ローンの5099億円と比べても、倍以上の規模がある。
SKKの集団交渉は、多くがこの「一棟収益ローン」の領域にかかわってくる。スルガ銀行が交渉に応じるか否かは、主張を裏付ける資料、または人数などの規模感にも左右されてきそうだ。