本連載もついに1年を迎えた。
不動産業界におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進のヒントを紹介してきたが、今回はそれらを振り返りつつ、DXの本質についてお話したい。
システムの複雑化 「DX疲れ」3割
これまでに紹介したDXの手法は多岐にわたる。例えば、来店率を上げるための「LINE」運用や、初心者でも取り組みやすい「インスタグラム」の活用、電子契約や外国人対応を円滑にするIT重要事項説明(IT重説)の導入などだ。
これらのツールは、顧客へよりよいサービスを提供するための強力な手段となり得る。実際、多くの不動産会社が導入し、顧客対応や日常業務を行っている。
ここで気付いた読者もいるだろう。顧客ファーストを追求しようとすると、複数のITツールを駆使せざるを得ない状況にあるということだ。
その結果、新たな課題も浮き彫りになってきた。それが「DX疲れ」である。
全国賃貸住宅新聞社が行った調査によれば、DXに取り組む不動産会社の約3割が、複数のシステムを使い分けることの難しさやシステム間の連係不足による不便さを理由にした、推進意欲の減退傾向を感じている。