賃貸管理業法、なぜできた? 法制化の背景、施行後の実態、業界への今後の影響を一挙解説

法律・制度改正|2023年07月12日

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 賃貸管理会社を取り締まる賃貸管理業法が、2020年6月に成立しました。賃貸住宅を所有する不動産オーナーから不動産の管理を受託する賃貸管理会社は、同法の定めに従って業務を行わなければならなくなりました。賃貸管理業法の内容と、法制化の背景、そして賃貸業界への影響についてまとめました。

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§1 賃貸管理業法とは何なのか

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 賃貸管理業法とは、家主から賃貸住宅の管理を受託する、賃貸管理会社を取り締まる法律のことです。賃貸仲介や売買仲介などの不動産取引業については、宅地建物取引業法(以下:宅建業法)が以前からあります。しかし、これまで賃貸管理業を取り締まる法整備はされていませんでした。
 そのため、新しい法律として20年6月に成立し、翌年の21年6月に全面施行されました。同法では、家主の不動産資産を保護するために、賃貸管理会社に対し、実施業務について同法の順守を求めています。

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§2 どんな賃貸管理会社が対象になるのか

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 賃貸管理業法では、200戸以上の管理を受託する賃貸管理会社を対象に事業者登録を義務付けています。また、賃貸管理業法には「サブリース」に関する規制も含まれています。サブリースとは、家主が所有する賃貸住宅を不動産会社が借り上げて、入居者に転貸する仕組みのことです。サブリース契約は家主にとって不動産経営が安定するメリットがある一方で、過去には大きなトラブルも起こりました。サブリースの悪用やトラブルの防止策として、賃貸管理業法では「特定賃貸借契約の適正化のための措置」いわゆる「サブリース法規制」を定めています。

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§3 賃貸管理業法は賃貸管理会社に、何を求めているのか

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 賃貸管理業法は、管理会社が行うべき業務について、大きく五つの項目を定めています。
 一つ目は、家主に対する「定期報告」です。管理会社は、入居者からのクレーム内容やその対応、建物の修繕箇所などについて家主に定期報告をしなければなりません。
 二つ目は、「業務管理者の設置」です。賃貸管理会社は、管理業務を行う拠点ごとに業務管理者を設置しなければなりません。
 三つ目は、管理受託契約前の「重要事項説明の実施」です。賃貸管理会社は、家主と管理受託契約を結ぶ前に、家主に対し重要事項説明を実施しなければなりません。
 四つ目は「資産管理」についてです。賃貸管理会社は入居者が支払った家賃や敷金などを一時的に預かる場合、自社の固有財産と分別して管理することが義務付けられています。
 五つ目が、賃貸住宅の「維持保全」です。専有部だけでなく、エントランスや階段などの共用部、専有部内外の電気設備、水道設備、エレベーターなどについて点検・清掃を行い、必要な修繕を一貫して賃貸管理会社が行わなければなりません。

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§4 賃貸管理業法ができた背景

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 賃貸管理業法が成立する、大きな契機となったのは「かぼちゃの馬車問題」です。これは18年に、女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営していたサブリース会社が、通常価格の1・5~2倍でサラリーマン投資家にシェアハウスを販売し、短期間で経営破綻した事件です。金融機関の不正融資も発覚し、社会的に大きな事件となりました。
 また、21年4月に発生した東京都八王子市内の木造アパート階段崩落事故によって、入居者が亡くなった事件も、賃貸管理業法の成立に大きく影響したといえるでしょう。こうした事故を防ぐため、賃貸管理業法では、管理会社に建物のメンテナンスに関する業務を求めています。

【管理業法の成立に関しての記事はコチラ】

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§5 今後の展開

 賃貸管理会社は、これまで入居者の募集や対応、家賃回収などをメイン業務としてきました。しかし賃貸管理業法によって、建物管理が重要な役割として加わりました。日々の清掃や点検に加え、適切な修繕工事やメンテナンスを一貫して、管理会社が行わなければなりません。これは、管理会社にとって、新たな収益事業を育てるチャンスにもなります。
 公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(以下、日管協:東京都千代田区)では、23年度から「賃貸住宅メンテナンス主任者認定制度」を開始します。これは、賃貸住宅の維持・保全のための知識と技能を持つ人材を育てるための制度です。日管協は、会員である賃貸管理会社に、メンテナンス主任者の認定を受けるための研修や受験を勧めています。

【建物管理やメンテナンス主任者に関する記事はコチラ】

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【動画】賃貸管理業法を成長機会とするには

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 「賃貸トレンドニュース / 管理業務アップデート会議」でおなじみの廣瀬一寛さんに、設立8年で管理戸数を6000戸に伸ばした湘南ライフ管理の事業実態について聞きました。徹底した アウトソースとシステム化 により社員6人で6億円強を売り上げ、管理業法をさらなる成長機会ととらえる、ビジネスモデルを徹底解剖します。

※この動画のアーカイブ版(全編)は、こちらのページで有料会員向けに配信中です。

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